八番筋カウンシル

八番筋カウンシル

2021年7月24日

95

「八番筋カウンシル」津村記久子 朝日新聞出版

津村記久子はいいなあ。と、改めて思う。

大人の汚い所と、子どもの真っ直ぐさ、どうしようもない無力さが描かれているけれど、じゃあ、おとなになるって嫌なことかというと、そういう訳じゃなくて。登場人物の子ども時代とおとなになってからが交互に描かれていて、最後に、ああ、そうだったのか!とわかることがある。わかった時に、ちゃんとおとなになれた感じがする。それは、全然悪いことではない。

まじめに生きるっていいよな、と読み終わって思う。人間の情けない部分、ダメな部分がいっぱい出てくるのに、そういうものもひっくるめて、何とかがんばって生きていこうと思わせる、津村記久子、凄いじゃん、って思う。

この人、登場人物をカタカナで書いたり、「カソウスキ」「とか「カウンシル」とか、カタカナの不思議な使い方をするよね。もし、登場人物が漢字で書かれていたら、またちょっと違うテイストかもしれない。

2013/10/11