北欧旅行記 その9(番外編)

北欧旅行記 その9(番外編)

というわけで、無事に帰国したのだけれど、いくつかの周辺のお話。

そもそも私が北欧好きになったのは、「長くつ下のピッピ」の作者リンドグレーンのファンだったからだ。ガムラスタンや空港のお土産屋さんにはピッピグッズも結構売っていた。ただ、図書館や本屋さんには思ったほどリンドグレーンの著作が置いていなくて、もう過去の人になりつつあるのか…と一抹の寂しさもあった。だが、おもちゃ屋さんには、彼女の「やかまし村」シリーズや「小さいロッタちゃん」シリーズのグッズがいくつも売っていた。嬉しくなって買いましたとさ。

夫はオスロのヴィーゲラン公園の「怒りんぼうの像」がとても気に入って、ミニサイズのレプリカを購入した。今、家に飾ってある。なかなかキュートである。

今回の旅で驚いたのは、キャッシュを一回も使わなかったこと。ただの一度も、だ。すべてクレジットカードで支払いは済んだ。トイレの入り口のワンコインすらクレジットカードでピッとやるシステムがあった。乗車券や入場料などのチケット類はほとんどがスマホのQRコードだったし、道端のちっちゃなお土産屋さんも、すべてクレジットカードでの支払いだった。なので、スウェーデンクローネやノルウェークローネに一切両替をせずに旅は終了した。

それから、前回の旅で非常に苦労したのが英語だった。大反省して、以来、毎日、続基礎英語とラジオ英会話を一日30分、聞き続けたのだが、それだけでも随分違った。会話力が上がったかというと、ほとんど変わってはいないのだが、少なくとも相手が何を言っているのか、が多少なりとも聞き取れるようになっていたのが大きかった。あとは、根性が鍛えられただけなのだと思うが、前回よりはかなりスムーズに意思疎通ができるようになっていた。最終的には日本語でも通じる、なんとかなるのは相変わらずなんだけどね。

スウェーデンの公共施設のトイレは男女に分かれておらず、通路沿いに個室ドアが並んでいて、男女どちらでも使えるようになっていた。洗面台などは中に設置してあって、個人で使用する。なので、犯罪の危険もない。大勢が詰めかけると効率は悪いのかもしれないが、多様性に配慮したトイレの在り方には感心した。

多様性と言えば、ファッションについても同じことを感じた。町にいる人々の服装が、あまりにも多種多様なのだ。肌寒いと感じるような気候でも、半そで半ズボンの人がいる。かと思うと、ダウンコートにしっかり身を包んだ人もいる。ものすごく太っているのに立派な太ももを出してミニスカートで闊歩しているおばさまもいれば、下着みたいな恰好のお姉ちゃんもいる。かと思うと非常にフォーマルなかっちりした服装でテーブルを囲む家族もいる。みんな、自分にとって最も心地良い格好を選んでいるのだ。ミュールが流行り出せば全員がミュールを履き、茶髪が流行り出せば全員が茶髪になるような日本とはえらい違いである。

やっぱり北欧はいい。とりわけノルウェーのベルゲンやフィヨルドの奥地は本当にのんびりして気持ちのいい場所だった。どこの国も、田舎に行けば行くほど良いね。ロンドンやパリなどで、どうしても何度かは感じるような人種差別的不愉快さには全く遭わずに済んだ。人々が明るく親切なのにも感動した。生活者が幸せな国だなあと思った。何度も温かい言葉をかけられて、私も人に親切にしなくては、と反省した。

北欧の夏はさわやかだった。最高気温が24℃程度。半袖のTシャツに、お天気によっては長そでを一枚羽織る必要もあった。帰国後、時差ボケと共に酷暑に慣れるのにしばらく難儀であった。そういえば、向こうの人はなぜ傘をささないんだろう。多少の雨どころか、かなり降ってるぞという時ですら、傘無しで平然と歩いていた。傘をさしているからあの人は旅行者だろうとわかるほどであった。窓から外を見て、誰も傘をさしていないから降ってないんだろうという予測は無駄であった。傘を手に握りしめているのに、なぜ、ささない。未だに謎である。

私も夫も齢を重ねてきたし、それぞれにちょっとずつ持病も持っている。しかも、私の老母はいつ何が起きるかもわからない年齢でもある。でも、だからこそ、今、動けるうちにいろいろな場所に行っておきたい、見ておきたい、という気持ちは旅から帰っても変わらないままである。時差ボケはどんどんひどくなるし、体力的にも厳しくはあるのだけれど、だからこそ、今が一番若いのだから、若いうちに世界を見ておきたい。また、きっとどこかへ行こうと思う。良かったら、また、旅の記録を読んでね。では、お付き合いいただいて、ありがとうございました。

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サワキ

読書と旅とお笑いが好き。読んだ本の感想や紹介を中心に、日々の出来事なども、時々書いていきます。

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