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「夕凪の街桜の国」 こうの史代 双葉社
図書ボランティアの講習会に参加した。いつも行くのとは違う図書館に行って、色々なお話を聞いて、帰り際に、書庫を眺めて回ったら、この本を見つけた。
あとで調べたら、文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞、手塚治虫文化賞新生賞を受賞した漫画だった。被曝した女性の話と、その女性の親族のその後の話が描かれている。
切ない。読んで、泣きたい気持ちになった。福島の事故があったあとだけに、さらに切ないのかもしれない。人間って、愚かだ、と思う。こんなに一生懸命生きていても、踏みにじられてしまうのか。
美しいラブシーンのあとに、主人公は力が抜け、それから、力が抜けっぱなしになった。
嬉しい?
十年経ったけど
原爆を落とした人は私を見て
「やった!またひとり殺せた」
とちゃんと思うてくれとる?ひどいなあ
てっきりわたしは
死なずにすんだ人
かと思ったのに
こんな思いをする人は、二度と出てきてほしくない。
私たちは、幸福になるために生まれてくるのに。
(引用は「夕凪の街桜の国」こうの史代 より)
2012/5/30