夢の続き

夢の続き

2021年7月24日

「夢の続き」吉永小百合 集英社

「吉永小百合って、誰?」と息子(高二)に聞かれました。ひえー。今時の子供は、吉永小百合を知らないのか!わたしが子ども時代は、吉永小百合といえば、美人の代名詞だったんだぞ。今じゃ誰なんだ?竹内結子か?常盤貴子か?いや、それでも全然、インパクトが足らん。誰もが認める美しさ、の象徴だったんだぞ。

その昔、サユリストのタモリが言いました。「さゆりちゃんは、うんこなんてしません。おしっこだけです。それも、ほんのちょっぴりだけ。」
下品ですみません。でも、いい年したおじさんに、そんなことを言わせたくなるような雰囲気を持った人ですよね。

時は過ぎるものです。あの吉永小百合様だって、もう、還暦をお迎えあそばされてます。それにしても、相変わらずのお美しさ。

本の中で、樹木希林と対談しているのだけど、「ところでどちらの整形に行ってます?」と唐突に質問されているのには笑いました。「えっ、どこも直してません。」「ほんと、どこにも爪あとないですね」ですって。樹木希林らしいなあ。

きれいだけど、いい子すぎる、というイメージは変わりません。ご本人は、体を動かしていないとダメなタイプだとかで、泳ぎまくったり乗馬をしたり、体育会系らしいし、一方では、原爆の詩を朗読し続けたり、社会的な活動もなさっているのだけど、どこか、何か、きれいすぎて、整いすぎた人生を歩んでいる印象が。

この本を読んで、彼女の印象が何か変わるかな、と思ったけど、何も変わりませんでした。真面目で、真摯で、誠実で、美しい。きっとこの人はこのまま一生過ごすのでしょう。樹木希林は、そこらへんが歯がゆいのかもしれない。本当はとても頑固な人で、いいなと思うんですよ、と評していて、あの厳しい樹木希林がそういうのか・・と感心はしました。

自分の事もちゃんとできないのに、子どもなんて・・と、子どもを生むことはあえて選ばなかったそうです。樹木希林が、「よく考えたら恐ろしくて子どもなんて生めませんよ、軽率で得することもあるんですよ」って。そういう軽率さがない辺りが、たぶん、吉永小百合の限界かも、と思ったりします。だって、素敵な女優さんなのに、もうひとつ、どこか、ドドーンと胸を打つものが足りない気がしてしまう。夢千代さんなんか、とても素敵ではかなくて、好きでしたけど。

自分の事も、ちゃんとできないのに、考え足らずで子どもを生んで、毎日、取っ組み合って、髪振り乱して日々を過ごしているおばちゃんの私には、あまりに綺麗すぎて現実離れした人のように思えてしまいます。

2008/3/14