不運な女

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2021年7月24日

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「不運な女」リチャード・ブローディガン 新潮社

これも「私たちには物語がある」で知った。ここに書くかどうか少し迷ったのだけれど、最後まで読んだのだから、書く。

リチャード・ブローディガンを私は知らない。調べたら、「どちらかと言えば落伍者的、社会的弱者風の人々の孤立した生活を掬う」人なんだそうだ。村上春樹、髙橋源一郎、小川洋子なんかが影響を受けているそうで、前者二人はともかく小川洋子は好きだがなあ。

過去の思い出と現在起こっていることを同時進行的に書くという小説。大きなモチーフとなっている、首をつって死んでしまった女性が「不運な女」その人らしいのだが、結局最後までその人がどういう人で、なぜ死んでしまったのかは定かではない。こんなこと書くと、なんと読書力のないやつだと思われそうだが、一体何を書いてあるのかが私にはよくわからなかった。ただ、ひたすら、死の気配だけが強くてうんざり・・・というよりは少し恐怖に近い感覚を覚えた。

それでも最後まで読み通してしまったのは、どこかで面白くなりそうな、なんだか興味を惹かれてしまうような、ふしぎな気配だけがずうっと文章の中にあったからだ。日本人や日本人墓地や、日本人の料理店など、日本絡みのことがやけに登場するのは何か意味があったのだろうか。

というわけで、私の理解力、読書力のなさを改めて露呈させてしまっただけの本である。リチャード・ブローディガン、もっと別の本を読んだら面白いのだろうか。

ちなみに、彼はピストル自殺したそうで、この作品廃品の中から発見されたそうだ。そりゃ死の気配が濃いのもしょうがないか。

2016/12/5