夫とデート、息子とデート

小三のおちびが、二泊三日のキャンプに行っています。夏と冬にあるこの恒例行事の間、残された家族は「おちびがいると出来ないことをやろうキャンペーン」に突入します。ものすごく辛いタイ料理やインド料理屋に行ったり、おちびには絶対わからない小難しい映画を見に行ったり。今回は、当初、目下、私が打ちのめされっぱなしの千原ジュニア様をナマで見よう!企画を打ち出したのですが、思い立つのが遅すぎて、チケットは入手できないわ、番組収録の抽選にははずれるわ、残念な結果となりました。しかも、一夜目は息子が部活で夜遅くなるというし、二夜目は夫が送別会で遅くなると!つまんない。

というわけで、一夜目は、夫とふたりで新宿のラム肉専門店で火鍋デートです。なぜか我々ふたりは羊が大好き。うまいっす。最近モンテカルロから帰ってきたばかりの夫の土産話を聞きます。いろいろ食べたけれど、一番うまかったのは、ホテルの部屋で食べた「サッポロ一番」だったなあ・・て、なんやそれ!貧乏やわー。

といいつつ、私も彼のお土産で一番気に入ったのは、日本でも実は二千円くらいで手に入ってしまうらしいパスティスという安い地酒です。なんか薬草が入ってるらしく、茶色の透き通ったリキュールなんだけど、これを水で割ると、ふわっと白濁するのよ。楽しい。薬草の匂いがきつくて、うわっ、何これ、と思いながら、恐る恐るすすると、変な味・・と思うのに、手が止まらない、口が止まらない。気が付くと飲み干してます。こわいわー。これとシャンペンを混ぜると「午後の死」という名のカクテル。絶妙の命名です。シャンペンが、いきなり安っぽい味になってしまうのだけど、悲しいことに、これがうまい。はい、午後の死を迎えるしかなくなります。

時差ぼけに壊滅的に弱い私と違って、夫は南米から帰ってきても翌日平気で出勤するような人でしたが、さすがに寄る年波で、ここ一週間ほどふらふらしています。引退したら、夫婦で世界中を歩きまわる予定を立てている私たち。時差ぼけが起きないくらい、ゆーっくり、移動して行こうね、などと話していましたが、アジアあたりでたゆたって、ヨーロッパに着く前に、どっちかが呆けきってしまうかも。

翌日は、息子とデート。大型書店で待ち合わせたのに、待たされる。いけないわ。草食動物の群れにライオンを投げ込んだみたいな入れ食い状態。彼が到着するまでに、四冊、買ってしまいました。もっと遅れたら、もっと鞄が重くなったにちがいありません。やれやれ。

ヤツが遅れたせいで、入るつもりだった寿司屋は満員。30分お待ちください、って、もう私は待てません。悔しいから、ビヤホールになだれ込みます。といっても、高二の息子はパイナップルジュースね。鰯の刺身や炙り〆鯖、キムチチャーハン、ハラペーニョのソーセージ、比内地鶏の焼き鳥、と脈絡のないメニューで、青春の悩みの聞き役に。まじめで不器用な同級生が、生徒会の仕事と部活の練習の板ばさみになって、どっちでも孤立していく様子が気がかりだとか。おいおい、それって、去年の君自身じゃないのか?まあ、だからこそ気になるんでしょうね。ああしろこうしろと、つい、いろいろ助言してしまうけれど、聞いてもらえないし、結局、彼が泥沼に入っていくのをみてるだけなんだよね・・・。って。去年、君も、私に同じようなことをいろいろ言われて、放っておいてくれと言ってなかったっけ?何をするのも、自分で選んでいるんだし、結局、自分で失敗してみないとわからないことだってあるし、そうやって困り果てて、学んでいくことだってあるんじゃない。黙って、信頼して見守るって方法もあるよ。と、助言しつつ、これって、私が自分に言い聞かせてるのか?と突っ込みを入れたくなります。

最後に、サーティワンでミントチョコを食べて、帰宅。レギュラーサイズにすればよかったかなあ、ワッフルコーンにすりゃあよかった、などとバスの中でぶつぶつ行っている息子。成長したんだか、してないんだか。

さあ、明日になれば、おちびがちょっとは成長して帰ってきます。話を一杯聞いてやらねば。このキャンペーン期間中に、家族一人ひとりと、丁寧に話が出来て、これもまた、よかったかな、チケットは取れなかったけど、などと思う私でありました。

2007/7/24