家電嫌いの妖精

ある日、お風呂に入ったら、お湯が半分しか入っていない。どうも自動給湯がおかしくなったらしい。あわてて「たし湯」のスイッチを入れてみたら、数センチも水面が上がらないうちに「ちゃらららーん」と能天気な音が鳴って「おふろがわきました」と明るく宣言される。いや、違うって、と再度スイッチを入れても、またすぐに「ちゃらららーん」とくる。仕方ないので、シャワーを引っ張ってきて、お湯を張りました。翌日、どきどきしながら自動給湯のスイッチを入れたのに、入る頃にはすっかりそんなことを忘れていて、普通に入って、普通に出て、「そういえば、昨日、お湯、半分だったじゃん」と思い出したのは、お湯のほてりもさめた頃。なんだったんだ、あれは。

と思っていたら、今度は食器洗浄機が水漏れし始めまして。周辺部がやけに水っぽいけど、こぼしたかな、と思っていたら、ぽた、ぽた、と水滴が落ちるところを目撃してしまったのです。それから、使うたびに、じーっと睨みつけていると、人の目を盗むように、時々こっそり、ぽた、ぽた、とやってやがる。まずい。修理に出さねば。と思いつつ、休日だから、あとにしよう、などと考えていたら、三日で止まりました。以後、食器洗浄機周辺はいつもからっからに乾いてくれていて。なんなんだ、あれは。

と思っていたら、おちびがテレビでぼーっとスナアラシを見ています。「お母さん、これがジュニアの好きなスナアラシだよね。」(「14歳」千原ジュニア参照のこと。)そりゃそうだけど、何もあなたが見る必要はないじゃない。「でも、今、どこの局でもスナアラシしかやってないんだよ」んなばかな。チャンネルを変えてみても、確かに、スナアラシだけ。まずい!今日は楽しみにしていた「バッテリー」のオンエア初日ではないか!あわてて、同じ住宅の別のお宅にお尋ねすると「映ってるよ、普通に」ってことは、うちだけか。関係諸所を調査して回った結果、アンテナ接続部分に洗濯用ハンガーがひっかかって、コードが抜けていたことが判明。接続しなおしたら、無事、映りました。やれやれ。

と思っていたら。
また別の日、夕飯の支度をしていたら、突然、「ぼむ!」と大型の風船が割れたような音が。また、おちびが何かやらかしたな、と決めてかかって問いただすと、「真面目に漢字の宿題をしてた」とお怒りの反論。んじゃ、あの音は・・・なんだ、この異臭は・・・パソコンじゃないか!!消えてる!死んでる!焦げ臭い!うわー、やばい!ってんで、あわてて夫にSOSの電話。電源をはずして、ソニーに連絡すると平身低頭。翌日、すぐに取りに来ました。

中のデータが心配なので、状況がわかり次第、すぐに連絡頂戴ね、というと、もちろん電話連絡もさせていただきますが、サイトにアクセスして登録していただくと、修理状況を逐次携帯メールにてご連絡するシステムもございます、と。そりゃ便利だ、早速登録しよう、とアクセスしました。そしたら。「修理受付時にお知らせしました10桁の修理受付番号を入力してください」だと。受付番号?伝票を見ると、確かに番号はあるけど、10桁どころじゃない、もっと長い。でもこれしか受付番号はないんだし、と入力すると、何度入れても「番号が違います」と冷たく拒絶される。どうしろっていうの?

仕方ないのでソニーカスタマーセンターに電話。「これから修理を依頼される方は1を、既に修理を依頼されている方は2を押してください」って言うんだから、当然2を押しますわな。すると、「10桁の修理受付番号を入力してください」って、だーかーらー、それを知りたくて電話しとるっちゅうねん!らちがあかないんで、1を呼ぶと、いつまでたっても呼び出し音ばかりで出てこない。10分待って、ダメだったので、また2に戻って、今度は持ってる番号を10個だけ押してみたら、あらま、なんと、つながるじゃありませんか。出てきた受付嬢に、あまり冷静とは言えない声で、今までの経過を説明したら、「正解です。最初の10桁を入力していただいて、後は無視していただいて結構です」って、誰がわかるんじゃあ、そんなこと!!「同じような苦情は何度か受けたことがございます」って、おいおいおいおいおいおい!!はあはあしながら、あなた、ソニーの偉い人にすぐさま報告して、このお馬鹿なやり方を改めなさいね、とお説教しちゃいました。間違ってる?私。

・・という今までの話を、おちびの保護者会で、隣に座った知り合いの保護者に話していたら、携帯が鳴りました。席をはずして出てみたら、ソニーから。かわいそうなうちのパソ子ちゃんは、電源部だけの事故(故障じゃなくて事故だよね)だったので、データは無事らしいとの事です。やれやれだけど、ここ数日の一連のトラブルは、きっと我が家に家電嫌いの妖精が住み着いた結果だわ。これだけ振り回されたんだから、妖精さん、もうよそへ行ってちょうだいね、と呪詛の言葉をつぶやきつつ、席へ戻りました。そうしたら。先ほど、お話していた保護者の方、「そういえば、うち、まだ新しい洗濯機が、今朝、いきなりおかしくなって、床が水浸しになったのよ。でも、洗い直したら、なんともないの・・」

家電嫌いの妖精は、次の住み着き先を見つけたようです。次は、あなたの家かもよ。お気をつけあそばせ。

2008/4/14