岩田宏詩集成

岩田宏詩集成

2021年7月24日

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「岩田宏詩集成」書肆山田

岩田宏は詩人です。小笠原豊樹という名前の翻訳家でもあります。この本を出版した直後にお亡くなりになりました。

この詩集をなぜ借りてきたのか、最初忘れていたのだけれど、読んでいて気が付きました。「住所とギョウザ」という詩が読みたかったのです。全部引用してしまうと著作権に触れるので、一部だけ。

おれはリィ君が好きだった
リィ君おれが好きだったか
夕日が消えたたそがれのなかで
おれたちは風や帆前船や
雪のふらない南洋のはなしした
そしたらみんなが走ってきて
綿あめのように集まって
飛行機みたいにみんな叫んだ
くさい くさい 朝鮮 くさい
おれすぐリィ君から離れて
口ぱくぱくさせて叫ぶふりした
くさい くさい 朝鮮 くさい

今それを思い出すたびに
おれは一皿五十円の
夜中のギョウザ屋に駆けこんで
なるたけいっぱいニンニク詰めてもらって
たべちまうんだ
二皿でも三皿でも
二皿でも三皿でも!

(引用は「住所とギョウザ」岩田宏 より)

2015/7/1