愚の骨頂 続・うさぎとマツコの往復書簡

愚の骨頂 続・うさぎとマツコの往復書簡

2021年7月24日

112

「愚の骨頂 続・うさぎとマツコの往復書簡」中村うさぎ マツコ・デラックス

毎日新聞社

マツコとうさぎづいている私。この二人の共著をとりあえず網羅してみようかと思う今日このごろ。

マツコは2002年に最初の著書を出した直後にたくさんのテレビ出演のオファーを受けて、すべて断っている。当時、彼女は両親に現状を一切伝えていなかったので、我が身の状態をテレビ露出によって知られることを恐れていた。時が経ち、東京ローカルで放送されているテレビ番組に出ることにより、ある種の準備が行われていったのである。

別の本の中で「母からの手紙」のエピソードをちらりと読んだことがあったが、この本の中にそれはより詳しく書かれている。東京ローカルだと思っていたその番組を、マツコの母はかかさず見ていた。その事実を知って彼女は大笑いしたという。このエピソードは、切ない。そんな出来事を経て、マツコは今現在のようにテレビにたくさん出ることを選択していったのである。

前作に続き、彼女たちは延々と自分たちの問題をぐるぐると考え続けている。そこに震災が起きる。その問題に対して、二人の直接の対談が収録されている。

生真面目な二人だ、と改めて思う。今回は、愛するもの、守らねばならないものについて、真摯に語っている。マツコの母への思いは、胸に迫るものがある。彼女の人生が孤独ではないことを心から祈りたい私である。

2015/12/2