りぼんの付録 全部カタログ

りぼんの付録 全部カタログ

2021年7月24日

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「りぼんの付録 全部カタログ ~少女漫画誌60年の歴史~」

烏兎沼佳代 集英社

 

小学生のころ、私はまんがを禁止された子どもであった。まんがはくだらない、悪い子になると母に言われていた。私はまんがの好きな子どもであった。が、母に逆らえない子どもでもあった。友達の家に行くと、夢中で「りぼん」や「なかよし」を読んだ。そんなに読みたいのなら、貸してあげるよ、と言われたけれど、借りる訳にはいかないのであった。今から思えば、せっかく一緒に遊ぼうと家に呼んだのに、漫画誌に頭を突っ込んだまま動かない私はひどく友達がいのない嫌な子だっただろう。ごめんよ、悪かった、でも仕方なかったんだ。と、あの頃の友達に言いたい私。でもそんな機会は二度とないだろうなあ。
 
中学後半、そして高校生になってからは、私は堂々とまんがを買うようになった。ひとつには、それを禁止すべき母が病弱で入退院を繰り返していたから、文句を言われないようになったこともあったし、私自身が親の言いなりにはならない子に成長していたからでもある。禁止されていたもの、本当はいけないとされていたものの味は殊更に甘美だった。
 
当時「りぼん」は、陸奥A子、田渕由美子、一条ゆかり、土田よしこ、篠崎まこと、太刀掛秀子、佐藤真樹などいわゆる乙女チックまんがが主流であった。陸奥A子のイラストの付いた付録は、それはそれは可愛くて綺麗で、使ってしまうのがもったいないようなものばかりだった。恐ろしいことに、私は未だに彼女のイラスト付きのトランプやノート、シール類を保管している。
 
大学に入ってからも、私はしばらくりぼんを買い続けた。まんがが読みたいというよりは、もうその頃は、ただひたすら付録がほしいという気持ちでいたような覚えがある。試験前にノートを貸して欲しいといってくる男子に、今月号のりぼんを買ってきてくれたら貸してあげるよ、などと言っていたっけ。そのおかげでお宝のような陸奥A子トランプは、2セットも手元にあるのであった。
 
思い出話はこれくらいにして、だから、この本の題名を目にしたときは、何が何でも読みたいと思った。同じ思いの人は多いらしく、図書館でリクエストしたら、すでに予約が山ほど入っていた。かなり待たされて、やっと順番が回ってきたのだが。
 
付録全部カタログという割には、カラーページが少なく、白黒の小さな写真ばかり、しかも文字目録が中心である。大判のアルバム式、すべての付録をカラー写真で!!というのは無理にしても、この題名なら、もう少し目でも楽しめる作りにして欲しかったと思う。それだと代金がかさんで採算が取れないと踏んだのか。いや、付録マニアは絶対にたくさんいるから、豪華に作れば案外たくさん売れたと思うんだがなあ。
 
目を通してみると、あんなに夢中になったのに、60年間のりぼん史における私の関係した年月は、実に僅かなものに過ぎなかった。せいぜいが7,8年間といったところか。
 
最近は、壁掛け時計やネイルなんかも付録についているというから隔世の感がある。すごいなあ。

2015/11/16