晴れた日に永遠が・・・

晴れた日に永遠が・・・

2021年7月24日

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「晴れた日に永遠が・・・」中野翆 毎日新聞社

「東京プカプカ」に続く例年のエッセイ集。毎年この時期になると中野翆さんの本を一冊読むのが恒例となっている私。いつも中野さんの鋭い視点にはっとさせられてきたものだけれど、ここ数年、ちょっと穏やかになっているというか、許容量が増えているというか。切り口の鮮やかさに驚くものがなくなってきているように思う。まあ、中野さんももう還暦を超えられているしなあ・・・。

勘三郎さんの命日にどうしても愚痴を書いてしまうのは、毎年のこと。私も毎年、それを読んでは一緒に嘆いてしまう。まだ受け入れられていない自分に気づく。来年の中野さんの本には三津五郎のことも載るのだなあ、と今から思ってため息が出てしまう。

例年、中野さんの本を読んで、何冊か読みたい本をピックアップするのもお決まりなのだが、今年は三冊くらいしかなかった。これもなんだか感度が下がっているような。って、私の感度の問題か?

小保方さん問題を扱いかねている感じがあって、それがよくわかった。私も、どう捉えていいかわからないで一年が過ぎたもの。今でもうまく消化できていない。来年の本に中野さん、どう書くのかなあ、なんて今から考えている。

ナンシー関が好きだったように、中野翠が好きで、それぞれに違ったやり方で、エッジの効いた物事の切り取り方を見せてくれていたものだけれど。ナンシーは死んで、中野さんはどんどん穏やかな人格者になっていくのか。取り残されたような気がする私である。

2015/3/20