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「東京プカプカ」中野翠 毎日新聞社
毎年読んでいる中野さんの本。昨年の「みずいろメガネ」以来だわ。
勘三郎さんが亡くなった年だから、そのことが繰り返し書かれていて、またまた悲しくなってしまう。小山三さんのことを気にしているのも、私と同じだわ。どんなにお辛かろうと、私もずっと思ってた。
それから、小沢昭一さんもお亡くなりになって、と思ったら、市川團十郎さんも。そして、藤圭子。本当に、いろいろな人が何人も亡くなった年だったなあ、と改めて思い返す。
中野翠さんは、前ほど怒らなくなったように思う。年取ったのかなあ。スマホに切り替えたのに、アマゾンで買い物ができないという機械音痴ぶりも描かれていて、笑っちゃう。欲しい本があると、アマゾンに詳しい(?)友だちに電話をかけて注文してもらうって、便利なんだか、不便なんだか。いつもパスワードのところで頓挫してしまう、ってのが、ちょっとわかる気もしたけど。(後で注文できるようになったと書いてあった。)
伊丹十三のことを振り返る文章もあって、しみじみしてしまった。伊丹さんは自分のことを空っぽの入れ物にすぎない、と言っていたそうな。あれだけ多才な人がそう断言していたのか、と胸を打たれる。確固たる哲学や体系はない、という自分の資質を見極めていたのか。
2014/8/5