本の雑誌No.479 2023年5月号 特集 さらば友よ!

本の雑誌No.479 2023年5月号 特集 さらば友よ!

82 本の雑誌社

本の雑誌は40年近く毎月(かつては隔月刊だったり季刊だったりしたが)読んでいる。雑誌なので読書数にカウントしたことはない。だけど、今回は、別。大事な一冊として数えようと思う。長らく本の雑誌の編集人を務め、引退したのちもずっと看板コーナーの書評を書き続けてきた北上次郎こと目黒考二こと藤代三郎の急逝を受けて、今までにないとんでもない厚さ(あまりのことに紙を薄いものに変えたそうだ)となった本号は、書き手の思いがあふれた胸熱くなる一冊だ。

長いことこの雑誌を読んでいると、名物コーナーでもある三角窓口(読者投稿コーナー)の常連さんを覚えていく。一度もあったことがないのに、数十年の付き合いのように思える、その時々の近況なども何となく知っている人たちがいる。そんな中の一人が目黒氏のこんな言葉を引用していた。

「もう残りの人生、月に〇冊読めるとして、一年で〇冊、あと生きているうちに読める冊数がわかってきて愕然とする」と。

この感覚は、最近の私にもある。あとどれだけ読めるだろう。目黒氏は、本を読むことをライフワークとし、それが仕事となることを体現した人だった。あんな人はいなかった。目黒氏と私の読書傾向は必ずしも合致しなかったけれど、彼に教えてもらった本はたくさんある。そして、それは絶対に私の読書生活を豊かにしてくれた。

ケン・グリムウッドの「リプレイ」を目黒氏は絶賛していた。今の経験と知識を持ったまま18歳になれるんだぜ、すごくないか?と興奮していたことを思い出す。その時、私は、もう一度18歳をやり直すなんて絶対に嫌だ、と強く思ったものだった。それを楽しそうに話せる目黒さんはきっと良い青春時代を送ったのだろうなあなんて思ったものだ。最近ドラマ「ブラッシュアップ」を見て、そんなことを思い出していたのに。それが、そのまま目黒さんの訃報につながってしまった。悲しい。

先の残りの冊数に言及した投稿者は、実は病院の待合室が一番読めるとも書いていた。最近、健康上のトラブルが続いて、私も病院通いばかりなのだが、確かに待合室はよく読める。電車の中の待合室は最上の読書場所だ。となると、まだまだ読めるだろうか、私(笑)。

このところ、大事な人、好きだった人が立て続けに亡くなっていく。そういう年回りなのだろうけれど、寂しい。どうか私の大切な人たち、長生きしてね。

目黒考二氏のご冥福をお祈りいたします。今まで本当にありがとうございました。