札幌旅行記(その5)

札幌旅行記(その5)

2021年7月24日

五月五日

息子が、近所においしい店があるからぜひ、と買ってきてくれていたクリームパンやアンパンを中心に朝御飯。確かに美味しいんだけど、ちょっとくどいぜ。こういう朝御飯は若者ならではだなあ。

今日も息子は忙しいそうで、どうせ構ってもらえない我々は小樽観光に行くことに。だから、これでしばらくお別れね。入学して、最初に様子を見に行ったときは、バイバイしてから、涙が出て困ったけれど、三年生ともなると、あっさり「じゃあ、頑張りなさいよ」で手を振れる自分に気づきます。子離れできたんだなあ。えらいぞ、私。

札幌駅から、電車に乗って小樽へ向かいます。途中で海が見えて、感激。小樽って、貿易港でかつてはすごく賑わったんだよ、とおちびに話します。「それって、横浜や神戸みたいに?」おお、そうだよ、よく分かってるねえ。ロシア相手の交易がたぶん一番多かったんだと思うよ、なんて言っているうちに、小樽到着。

小樽には、息子が小一の頃に一度来ています。あれから15年か。コインロッカーに荷物を預け、観光地図をもらって、運河方面へてくてく歩きます。15年前は、運河の倉庫を改装したビヤホールで地ビールを飲んだんだっけ。あの頃のγGTPは元気だったなあ・・・・なんて、中年おばちゃんは考えちゃいます。運河沿いに、レストランやカフェは何件かありましたが、前入ったのがどのお店かは、よくわかりませんでした。

運河から一本離れた大通りをずっと歩きます。ホタテを串焼きにして売っている屋台から、いい匂いが。おちびがせがむので、ちょっと戻って、一本買ってみましたが、匂いほどの味ではありませんでした。まあ、観光地だし、そんなもんかな。

北一ヴェネツィア美術館に入ります。一階のお店は混んでいるけれど、入場券買って二階に行ったら、がらんと空いていて、ほぼ貸しきり状態。シャンデリアや繊細なガラス食器が豪華なテーブルに並べられています。こんな食事したら、おっことしたり噛み割ったりしそうで、怖くて食べられないわ、って思いました。中世貴族の衣装を借りて写真が撮れるコーナーがありました。絢爛豪華なドレスには心動かないけれど、黒っぽい「ベニスの商人」のポーシャみたいな衣装があったので、ちょっと心が動きました。着替えが面倒なので、やめちゃったけど、撮っておけばよかったかなあ。

ガラスの鏡、ガラス細工の見事な動物、ランプにアクセサリ、様々なガラスの作品をお腹いっぱい眺めてから、一階の売店へ。記念になにか買ってあげようか、と夫に言われたのですが、あんまりすごいものを見てしまった後なので、売り物が、貧相に見えてしまって悲しいです。

そういえば、その昔、三重の真珠島の美術館で、何千万円相当の真珠の数々をさんざん見せられてから、売店に行って、何か買ってあげようかと同じように言われた時も、本当なら素晴らしく美しいはずの真珠が、なんだかみすぼらしく見えて、十万二十万じゃ納得しないわよって思って、結局買いませんでした。これって、実は、作戦?

それでも、心を落ち着かせ、冷静になってみれば、やっぱり売っているものも素敵です。おお、これは好き!と思ったアクセサリがあったのですが、たぶん、派手すぎて、実際に身につけることはしないだろうなあ、たまに眺めて、私、こんなのも持ってるのよね、と思うだけだろうな、と、結局、買わずに終わってしまいました。さて、私が気に入ったのは、この中のどれでしょう。

母の日が近かったので、実家の母に、薄緑色のベネチアンガラスのネックレスを買って配送してもらうことにしました。

北一ガラスのお店は、そのあたりに、何軒も何軒もあります。小物や雑貨が好きなおちびはご満悦。私と夫はワイン屋さんでちょいと試飲させてもらったりして、ご機嫌。ルタオのカフェ前で、チョコレートの試食をやっていたので、二種類食べさせてもらいました。そうしたら、普段は好きじゃないホワイトチョコレートがとってもおいしいの。びっくりしました。

おなかがすいてきたので、せっかく小樽だし、お寿司でも食べようよ、という話になりました。そのあたりにも、何軒もお寿司屋さんはありますが、夫が、どうせなら、「政寿司」まで行こう、というので、腹ペコのまま、頑張って歩きます。空腹でどんどん機嫌が悪くなるおちび。ずいぶん歩いてやっと政寿司にたどり着いたら、順番待ち。でも、思ったより早く席が空きました。お寿司は美味しかったです。カウンターだったので、遠慮して写真は撮れませんでしたが、キンメをさっと炙ったものや生のニシンがとりわけ美味しく、ウニは海苔で巻くと磯の香りが負けちゃうからね、なんて薀蓄も聞きました。

駅の方へ歩き、ルタオのショップがあったので、さっき美味しかったホワイトチョコレートを買います。ナイアガラというワインの入った銘柄。おとなの味です。

それから、15年前に来たとき、義姉がすっかりはまって一時間以上蟹のレクチャーを聞いた覚えがある三角市場へ。当時はものすごく活気ある市場だったのですが、今回行ってみたら、人が少なく、お店の数もずいぶん減っていました。北一が頑張りすぎて、人が運河の方へ運河の方へ流れてしまったのかしら。海産物がたくさん売られていて、その場で買って調理してくれるお店なんかもありましたが、もう、お寿司でお腹いっぱい。ひやかすだけでごめんなさいでした。出口近くに、おばあちゃんがやっている小さな駄菓子やさんがあって、そこだけ時間が止まっているみたい。

「ジンギスカンキャラメル」なんてかなり危なそうなものもありました。あれこれ考えて、ちょっと危険な「函館がごめ昆布キャラメル」をおちびに買いました。そうしたら、普通のキャラメルに、ほんのり昆布風味が混じって、案外いけたそうです。

それから、荷物を出して、千歳へ移動。お土産屋さんをひやかして回って、夕食用の空弁を買い、行きよりは大きい飛行機で、兵庫へと戻りました。

美味しい物をたくさん食べて、息子の顔も見て、幸せな旅でした。

2011/5/20