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「東京島」 桐野夏生 新潮文庫
夏休みの終わりに、ややこしい旅に出た。兵庫から千葉の実家を経て、長野、松本、名古屋を周り、三重県でお墓参りをして帰る。そんなにややこしいとは思っていなかったのだが、JRでチケットを取ったら、三人で21枚のチケットが必要になり、購入に30分以上もかかった。そんなもんなのかなあ。
その旅のお供に、文庫本を三冊、単行本を一冊。この「東京島」は行きの新幹線の中で読んだ。怖かった。
ベストセラーになったんだって?さっき、画像を探していて知ったのだけど。アナタハン事件という実際にあった事件が元になっているらしい、ということは知っていたけれど、なんと映画化までされていたとはしらなんだ。でも、怖そうだから、見たくないけど。
早期リタイアした中年夫婦が無人島に漂着。程なく漂着した別の男性グループと集団生活を送るなかで、唯一の女性をめぐって、争いが起きる。その内、中国人グループも漂着して、争いは余計にややこしくなる。
実際に無人島に漂着したら、どんなだろうなあ、とちょっと想像したら、怖くなった。もう私を争ってくれる男性陣がいるとも思えないけれど。手元にある僅かなものだけを頼りに生活をしていくことを想像する。紙がないと辛いだろうなあ。パソコンでもいいけど、無理だし。読む、書く、ができないと苦しい気がする。
「蝿の王」を思い出した。無人島漂流はいつの時代も物語を生む。
2012/8/31