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「春画」椎名誠 集英社
「おれたちを笑うな！」みたいな脳天気なものを書くかと思えば、こんな私小説も書くのが、椎名誠だ。夫が借りてきたので、いつ頃書いたものかも気にせずに読み始めたが、十年以上前の作品だった。
二人の子どもたちがそれぞれにアメリカで暮らし始め、夫婦二人の暮らしになんとなく変化が訪れてきた頃。家族の形は、子どもの成長によって、だんだん変わっていく。その切なさと成長の喜びと、近づいてくる死の影のようなものと。ちょうど今の私たちの年代の中年の心情が描かれていて、身につまされる思いがした。
椎名さんはこの歳になっても喧嘩はしてたんだなあ、女にも手を出してたんだなあ・・・。以前、「噂の特集」で、どんな人のスキャンダルも扱うくせに、椎名誠のことだけは使わないのか、と怒っている作家がいたけど、こういうこともあったのか、とちょっと思ったな。
2014/6/24