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「沢野字の謎」沢野ひとし 椎名誠 木村晋介 目黒考二 本の雑誌社
「本の雑誌」を私はほぼ創刊当時から愛読している。この雑誌の表紙はずっと沢野ひとしの絵と、正体不明のコピーで成り立っている。このコピーは、沢野ひとしが何本か書いてきたものから編集部が選んでいるそうだ。特に依頼したわけではないのに沢野ひとしが思いついたものを書きなぐってくるため、使用されなかった幻のコピーもわんさかある。それらを一同に集め、このコピーは何なのか、また中でも最強のコピーはどれなのか、について椎名誠、木村晋介目黒考二に本人を交えて討論したのがこの本だ。
階段のあかりをつけたら妻がいた
お前たちは豆腐とネギ
大切なものは家の外にある
匿名手帳 よーし
犬のクビワまで持っていった妻
毎日そうしているのか (「沢野字の謎」より引用)
などなど、一体何を言おうとしているのか、どんなストーリーが背後にあるのか不思議なコピーが並ぶのだが、あれこれ討論していくうちに、だんだん味わい深く、思い入れができていくのが面白い。
幾つものコピーを集め、そこから強いものを選んで最後はトーナメント方式で最強のコピーを選ぶのだが、優勝したのは、意外な一文だった。
最強コピーが決定した後の感想戦も、なかなか楽しい。
こういう無意味なことを延々と語り合う「発作的座談会」シリーズは、どれも大好きだ。
しかし、このメンバーが編集部にいた頃の本の雑誌は最強だったなあ・・・。
2014/5/23