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「清明 隠蔽捜査8」今野敏 新潮社
第六巻の「去就」以来なので、どうやら七巻を読み飛ばしているらしい。ま、いっか。
前の何冊かを読んだことがある方ならご存知の主人公、竜崎が大森署から神奈川県警の刑事部長に異動。新しい職場に行くまでのふわふわした感じなどは、転勤族だからわからんでもないが、勤務先から新居に車で送られて初めて足を踏み入れる、なんてアリかよ、と思う。妻が引っ越しのすべてを整えているので、どんな住宅かも帰宅して初めて知るんだとさ。いやあ、我が家じゃありえんが。
神奈川県警と警視庁のライバル関係など新しい要素も加わって、竜崎も少々人間臭さを見せてくるあたり、マンネリ脱却を狙っているのかもしれない。でもなあ。いじわるそうなOBが味方になったりするのはご都合主義的じゃないかい。最初の方にあった竜崎という人間の鮮烈な個性がだんだん薄れているようで、ちょっと残念な気がする。
2020/8/20