百光年ハネムーン

百光年ハネムーン

2021年7月24日

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日本SF短編50Ⅱ1973-1982「百光年ハネムーン」梶尾真治 ハヤカワ文庫

朝日新聞の「悩んで読むか、読んで悩むか」という人生相談込みの書評欄で、一体誰だったのかも忘れてしまったが、誰かが勧めていたのが「百光年ハネムーン」。確か夫婦関係に関する悩みに対する回答として提示されていたのだと思う。

この本自体は日本SF作家クラブ創立50週年を記念して編まれたアンソロジーの第二巻であるが、私はその中から「百光年ハネムーン」だけを読んだ。

海水から抽出する奇跡の鉱物、大和石(ヤポニウム)を発見した五堂老人。ヤポニウムの溶液は人類の細胞組織を活性化させ、寿命を驚異的に伸ばした。エネルギー源としてのヤポニウムは効率面で革命的な長所があり、その他にも文明の奇跡的な進歩をもたらした。そのヤポニウムの膨大な利益を手に孤独な生活を送る老人のもとに、子孫の一人が表れ、とある旅行を提案する・・・。

うーむ。私もヤポニウムを発見したい。利権とならないように上手にそれを配分したい。それでも百年、二百年と同じ姿を保って人間が長生きするのはどんなもんかなあ、と思う。不老長寿を願うのは人の常らしいが、私は今から若かった頃の自分に戻してあげると言われても、丁寧にお断りしたい。これからが長いぞ、といわれても、そうだなあ、飽きるんじゃないかという心配もある。限りある人生だからこそ大事に生きる、というのは絶対にあるぞ。

2017/5/7