誰も書けなかった「笑芸論」

2021年7月24日

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「誰も書けなかった「笑芸論」」高田文夫 講談社

 

高田文夫は放送作家であり、ラジオパーソナリティであり、落語家である。故・景山民夫の相方として漫談(?)をやっていた時代もある。お笑いの様々なシーンに時として出てきてはかっこよくさらりと笑いを取っていく印象のある人だが、今やお笑い界の重鎮である。爆笑問題の太田が尊敬していると公言してやまない師匠でもある。
 
そんな高田文夫が数年前に心肺停止で倒れ、八時間後に息をなんとか吹き返した。驚いたことに今じゃピンピンしているが、この際、自分のお笑いに関わる様々な経験、出会った芸人さんたちについて書き残しておこうとしたのがこの本である。
 
森繁久彌、三木のり平、青島幸男、渥美清、林家三平、永六輔、古今亭志ん朝、森田芳光、立川談志、三波伸介、景山民夫、大滝詠一、坂本九、クレージーキャッツにコント55号、ドリフターズ、そしてビートたけし。
 
この殆どの人達に、私はかろうじて間に合っている。その思い出話は、私にも懐かしい。亡くなってしまった人が多いし、途中から路線がぐいっと変わった人もいる。でも、誰もがすごい才能だったのだなあと改めて思う。
 
人を笑わすのは、いつだって素晴らしい仕事だと私は思う。なくても食べるには困らないし、なくたって構わないことなのかもしれないが、私はずっと笑っていたい。笑うために命をかける人たちを、美しいといつも思う。

2016/4/25