買おうかどうか

買おうかどうか

2021年7月24日

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「買おうかどうか」岸本葉子 双葉社

 

2009年の本。買い物依存症ではなく、むしろその逆の人一倍もったいながりやで、ひとつのものをしつこく使い続ける筆者が、何かを買おうかどうしようか、呻吟するさまをエッセイにした本。
 
悩んだのは、アロマオイル、ホームベーカリー、パソコン、人間ドック、スーツケース、お雛様、吸盤フック、スパッツ、ホーローのやかん、醤油差し、老眼鏡などなど多岐にわたっている。悩んだ末に買って大失敗だったと反省したり、買わないで良かったとホッとしたり、買って大成功だったと喜んだり、結果も様々である。
 
十年経つと、もう全然違っているなあ、と思うものもあった。とりわけパソコンやインターネット関係は劇的に環境が変わっているのね。スパッツはレギンスという名で定着しているし。時代は変わる、としみじみする章もあった。
 
私も買い物はあまり好きではなく、長く同じものを使い続ける派である。だからこそ、この呻吟はよく分かる。私は買うかどうか迷ったとき「それがなくて、いま、私は困っているか?」「それを手に入れることによって、私の困りごとはどのように軽減されるのか?」を考える。と、結果的に、殆どのものを買わなくても、全然構わないことがわかってしまうのだ。だって、いま、特に困らず生活しているからねえ。
 
というわけで、私が常に悩むのは、「この本を買うかどうか」であった。

2019/9/29