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「週末沖縄でちょっとゆるり」下川裕治 朝日文庫
「週末アジアでちょっと幸せ」の沖縄編みたいなもの。年に数回の割合で沖縄に通い続けて20年以上の作者が、LCC(格安航空会社)の乗り入れ後、ちょっとずつ変わってしまった部分、それでも変わらない部分を見極めながら、沖縄について語った本。
最初の章は、「沖縄そば」。首里そば、亀かめそば、かどや、田舎、などなど、名だたる沖縄そば屋から気軽な店まで食べ歩きながら、どこか変わってしまった、本来沖縄そばはこんなものではなかった、という違和感を作者は感じ続ける。そして、ついに二十年前の空気をまとった沖縄そばに対面するのだが・・・。
作者の沖縄に対するちょっとバランスを欠いた思いが伝わってくる章だ。ここから始まることで、その続きを読む姿勢が楽になる、様な気もする。
私も沖縄は好きだ。今までに六回くらい行ったかな。何度行っても飽きないし、また行きたいと思う。食べ物も美味しいし、空気も緩くて温かい。そうやって沖縄を好きになって、通い続けて、ついに移住した若者が、徐々に情熱が薄れ、なんとなく居心地が悪くなり、でも帰る気にはなれない・・・。そんな様子も描かれている。
わかるな~。結局、よそ者はよそ者なんだよね。どんなにその土地が好きでも、生まれ育ったものには、なれない。生粋の勤族の私には、その感覚がよーくわかってしまう。ほろ苦いなあ。
LCCで沖縄に来た旅人は、おみやげも単価の安いものしか買わない、という指摘にははっとした。格安で旅行すると、その分財布の紐は緩むのではなく、固くなるものなのだなあ。
2015/1/21