飲めば都

2021年7月24日

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「飲めば都」北村薫 新潮社

出版社に努めている、飲むとちょっと乱暴になって記憶を失うこともある、都さんという二十代後半の女性が主人公だ。2009年から2011年辺りに書かれたもののようで、読むとちょっと古く感じるところがあるけれど、とても気持ちのいい物語だ。テイストとしては、「中野のお父さん」と同じね。登場人物はみんな癖もあるし面倒なところもあるけれど、基本、いい人ばかりだ。結局私はこういう話が好き。人が死なないミステリ、出てくる人がみんないい人の物語。それじゃつまんねえよ、といわれそうだけど、そういう話はめったに無いからねえ。

北村薫は面白いな、と改めて思った。

2019/10/10