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「虚ろまんてぃっく」吉村萬壱 文藝春秋
なんで読んだかなあ。羽田圭介が勧めていたからだっけ。ああ、うかうかと乗るんじゃなかった。この人、芥川賞をとったことがあるらしい。文学って、こういうことなのか。だとしたら、文学、別にいらんし。と思ってしまった。
後ろ向き、絶望、軽蔑、唾棄、暴力、不誠実。そういう世界だ。この世を憎み、絶望している人が読んだらきっと感ずるところもあるだろう、大いに共感もするだろう。
もう私はいいおばちゃんになってしまったのだなあ、と思う。こういう本を読むと、甘ったれた男が何を言ってるんだか、としか思えなくなっている。作者やこの本のファンから見たら、私なんて女性としてなんの魅力もない、なんのために生きてるかわからない汚い体の線の崩れた乾ききったババアでしかないのだろうけれど。私みたいなババアは極めて現実的に、今日のおかずは何にしようかしら、みたいなことの繰り返しで生きているつまんない取るに足らない人間なんだろうけれど。
人を蔑んだり、自虐に走ったり、弱いものを殴ってそれを弁解したりする暇があったら、ちゃんと前を向いて働けよ、日々を丁寧に生きろよ、と思ってしまう。文学なんてものを一切理解しない馬鹿なおばちゃんのたわごとなのだろうけれどね。人間の負の部分を暴き出すことに意義があるんだろうけどね。私は、要らないなあ。
2016/1/22