あしながおじさん

あしながおじさん

2021年7月24日

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「あしながおじさん」ウエブスター福音館

 

「あしながおじさん」は私の愛読書である。何度読み返したかしれない。子供の頃にも何度か読んでいたのだけれど、三十代で、おお、この本にはこんなことが書いてあったのか!と驚いた。四十代で、なんだか泣けた。五十代で、またちがった感慨が湧いてくる。
 
今回読んだのは、福音館の古典シリーズ。家には偕成社文庫があるけれど、翻訳が違うと印象も多少は違うようだ。福音館のジュディは結構大人っぽくて落ち着いている。
 
何故かジャービー坊ちゃまは、読む度にダメ男に成り下がっていく。だってずるいじゃん。自分の力を利用して、ジュディを思うように動かそうとするんだもの。拗ねたり、脅したりするんだもの。六十代で読んだら、それが可愛く見えてくるんだろうか。
 
三十代で読んだときは、子どもには愛情が必要である、としみじみ思った。四十代では、もっと知りたい、もっと読みたいと願うジュディが眩しく、勇気が出た。五十代では、ジュディの自立心に感動してしまう。そうだ、負けるな、自分の足で立て、立つんだ、ジュディ!と、あしたのジョーばりに応援したくなる。思えば、うちの娘、そろそろジュディの年齢なのね・・・。
 
古典だなあ、と思う。たくさん注釈がついていて、今の子は、この注釈なしには読めないんだろうと思うと、やっぱり読みにくかろう。でも、すごいよ、この本。何度読んでも引き込まれる。前向きで、いつも明るく、自分を信じて頑張る、たった一人でも負けないジュディは、いつだってわたしを励ましてくれる。
 
これ書いた人は、100年も前に死んじゃってるのに、今でも、遠く離れた東洋のこんなちっぽけなおばさんをちゃんと勇気づけてくれる。本って、凄い。

2016/3/18