あのとき、この本

あのとき、この本

105  こうの史代 平凡社

「こどものとも0.1.2」(福音館書店)連載の絵本の書評連載の単行本化。71名による「あのとき」に読んだ思い出の絵本エッセイに、こうの史代の4コマ漫画が添えられている。71名は多岐にわたっている。天野祐吉、谷川俊太郎、岸本佐知子、松谷みよ子、ねじめ正一、宮下奈都、安西水丸、なだいなだ、青山 南、安野光雅、佐々木マキ、恩田 陸、今江祥智、南 伸坊、中島京子、甲斐みのり、井上荒野、伊藤比呂美、高野文子、坂口恭平、吉田戦車、森見登美彦長田 弘・・・・。みんないろんな絵本を読んできたのだなあ。

学校の教師に「みんなこんな絵本はもう卒業しましたよね」と「かいじゅうたちのいるところ」を指し示されて、その先生が大嫌いになった話に頷いた。絵本って一生卒業なんてしないものだから。いくつになっても大人になっても絵本は良い。文字の書き連ねてある文学が立派で、絵だらけの絵本が幼稚だなんてことはまったくない。時々いるよね。「絵本の読み聞かせなんて、別に効果はないし、やらなくてもいい」なんて言いたがる教育ママとか。もう、なんにもわかっとらん!!

絵本は深い。自分の世界がいくらでも広げられる。どんなふうにも楽しめる。子どもと向き合えば、こんなに楽しいアイテムはない。本を超え、歌ったり、踊ったり、口ずさんだり、その場所で遊んだり。なんだってできる。この71名が、どんなに絵本に人生を支えられてきたか。読めば、分かる。

それぞれに添えられたこうの史代の漫画も味わい深い。安野光雅がタシャ・テューダーの本の話を書いていた。それに添えられたマンガは、高校二年生の女子が進路調査票にタシャ・テューダーの生き方をそのまま記すというものであった。「予定が狂うことなんていくらでもあります」というタシャ・テューダーのセリフが本に記されていた。しみじみ笑った。