あん

あん

2021年7月24日

36

「あん」ドリアン助川 ポプラ文庫

 

しがないどら焼き屋にある日やってきた、あん作りの得意なおばあさん。だが、彼女には隠された秘密があった・・・・。
 
樹木希林主演映画の印象が強い。と言っても、映画を見たわけでもなく、日本アカデミー賞だったかの授賞式でちらっと見たり、映画紹介をテレビで見た程度だ。だが、それだけで樹木希林は強烈な印象を残す。
 
これを読んで、なるほど、樹木希林はこんな役をやったのか、と思ってしまう。女優の力ってものすごい。活字で書かれているだけのセリフが、樹木希林の声で、表情で立ち上がってくる。
 
そんなわけで、この本を純粋に読めたとはいえない私である。とはいえ、途中まではグイグイと引っ張られて読めた。が、途中から、理屈が勝つというか、伝えたい情報が先に立ってしまうというか、なにか物語として惹かれる力が落ちる印象があった。あん作りのおばあさんの書いた手紙にリアリティを感じないというか、引き込まれるものが少なかったような気がするのだ。
 
 

2016/5/28