おじさん追跡日記

おじさん追跡日記

2021年7月24日

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「おじさん追跡日記」なかむらるみ 文藝春秋

毎年恒例の中野翠さんに教えてもらった本の中の一冊。薄くて軽い本だった。

本としてはラストに登場する石破おじさん(政治家)がキモなのだろうけれど、私としては、普段は普通に過ごしている女装癖のマロンちゃんとか、頭に「寿」と刈りこんである宇宙センター近くのコンビニのおじさんのほうがツボだった。文藝春秋社長、平尾さんの「うまのすけ事件」も興味深い。

それはさかのぼること30年前。上司のAさんと作家の沢木耕太郎さんの話になった。イケメンに手厳しい平尾さんは「あんなに全部かっこいいわけがない、本名は何というんですか?」とAさんに聞くと「うまのすけだよ」。平尾さんはしめしめと、「沢木耕太郎って実はうまのすけっていうんだよ」と大勢に話したそうな。それから月日は流れ、ひさしぶりにAさんに再会すると「そんなこと言ってない」と言う。沢木さんはうまのすけではなかった・・・・。そして社長になった平尾さんはついに本人に会うことに。意を決して変な名前を言いふらしたことを誤ると、沢木さんは表情を変えず「よく考えたね」と一言・・・・。
          (引用は「おじさん追跡日記」なかむらるみ より)

各おじさんには、「今までの人生を一文字で表すと」を教えてもらっている。「和」「愛」「雑」「縁」「充」「楽」「惜」「空」「義」「心」「省」・・・「柿」なんてのもあった。私は何かなあ。「寝」だったりして・・・・。

2015/3/27