おにいちゃんがいるからね

おにいちゃんがいるからね

2021年7月24日

127

「おにいちゃんがいるからね」

ウルフ・ニルソン文 エヴァ・エリクソン絵 徳間書店

 

エルサ・ベスコフの絵本をリクエストしたつもりだったのに、受け取ったら違う作者だった。なんでだ?と思ったら、エルサ・ベスコフ賞を受賞している人だって。ついでにアストリッド・リンドグレーン賞ももらっているらしい。豪華だ。
 
保育園で時計を作ったぼく。時計の時間は三時にした。パパがいつも迎えに来る時間だからね。三時だと言うのにパパが迎えにこないので、ぼくは一人で家に帰った。でも、パパもママもいない。きっとトラックに引かれて死んじゃったんだ。ぼくは保育園に弟を迎えに行って家に連れ帰り、鍵がないから材木で別に家を建てる。弟をしっかり育てる決意をする。おやつも、テレビも用意してあげる。でも、寂しくなってきて、泣いちゃったら、そこにパパとママが保育園から連絡受けて飛んで帰ってきた。
 
北欧児童文学のお約束だ。ぼくはパパとママに叱られたりしない。ぎゅっと抱きしめられただけだ。子どもの気持ちは受け入れられる。大事にされる。愛される。安心する場所がある。驚くほど、子どもは受け止められるのだ。そのことに、私は感嘆する。絵本は、それでいい、それだからいい、と思う。

2016/11/20