おやじネコは縞模様

おやじネコは縞模様

2021年7月24日

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「おやじネコは縞模様」群ようこ 文藝春秋

 

その昔、「トラちゃん」をはじめて読んだ時は、群ようこの動物愛に大笑いし、かつ胸打たれたものだった。とりわけ「よしこちゃん」という金魚の話は抱腹絶倒だった。
 
あれから何年経っただろう。久しぶりに群ようこ動物モノを読んだ。これは、飼い猫のしまちゃんと、外猫でときどき群家を訪れるしいちゃんの物語だ。しまちゃんはしいちゃんを警戒している。だから、しいちゃんは群さんちを見張っていて、しまちゃんが外のパトロールに出るときにこっそりやってきて、しまちゃんの餌のお残りをもらう。群さんは、しいちゃんが来るようになると、しまちゃんの餌の量を増やしたりして、ちゃんとしいちゃんのぶんの餌も確保してやるのだ。猫缶購入が年間十万円を超えてゴールドポイントを貰ったりしているくらいだから、猫に餌をやるのもなかなかたいへんだ。
 
しまちゃんはおとなりのおばさんにも上等の牛肉やら生卵やらを貰って、なかなか優雅な生活をしている。飼い猫と外猫とどちらがヒエラルキーが上なのかは分からないが、自分が猫だったら外猫がいいかも、と群さんは書いている。私はどっちかなあ・・・結論が出ない。
 
死んじゃったら猫も焼いてもらえますか、と友だちが火葬場に電話したら、それを漏れ聞いた飼い猫が急に元気になった話なんかも書いてある。猫は人間よりも寿命が短いので、飼うということは、その死を看取るということでもあるのだなあ。
 
私は猫を飼ったことがない。ましてや、こんなふうに外猫に愛情を注いだことなど全くない。外で猫と出会うと、大島弓子の漫画にあったみたいに、目をパチクリさせて合図だけ送ってみることならあるけれど、今のところ相手にされたこともない。
 
人間の子ども、というか大人になりかけの面倒なやつを飼っているだけでずいぶんと面倒なので猫を飼うつもりはないが、うんと年寄りになったら飼いたくなったりするんだろうか。私、五歳、とか猫に向かって言ったりするんだろうか。

2015/2/12