こっちだったかもしれない ヨシタケシンスケ展かもしれない公式図録

こっちだったかもしれない ヨシタケシンスケ展かもしれない公式図録

185 ヨシタケシンスケ 白泉社

一か月ほど前だったか、ヨシタケシンスケ展を見に行った。ヨシタケシンスケは、絵本作家である。2021年、私の中ではヨシタケシンスケブームが起きていた。

シンプルな絵柄、内にこもるような人柄、それでいてどこまでも伸びやかな発想。失敗してもいい、だめでもいい、できなくたっていい、今見えてるものだって本当は違うのかもしれない、何が正しいかなんてわからない。ネガティブにも見えかねないポジティブにあふれた、あまり出来の良くない自分をそのまんま肯定できるような、ほっと気が楽になるような作風。読めば思わずぐふふと笑ってしまう。でも、その奥底には深い哲学が潜んでいるような。

そんなヨシタケシンスケの展覧会は、想像の百倍楽しいものだった。せっかく展覧会をするのだから、できることもできないこともいっぱい考えてみよう、うんと楽しもう、楽しんでもらおう。そんなヨシタケシンスケの思いがあふれた会場だった。

会場で売っていたこの図録は布張りの立派な本で、ちょっと迷いながら夫が買ったもの。でも、市販品ではないので買ってよかった。細かく細かく、読み切れないほどのアイディアや作品や思いがあふれていた。会場で実現したものも、しなかったものも詰め込まれていた。

ヨシタケシンスケ展は、まだ全国を巡回しているらしいので、ご近所の美術館に来たときは、ぜひ一度足を運んだほうがいいと思う。すごく楽しいから。展示されていた彼の学生時代の立体作品の動画には爆笑してしまった。親に「お前は殻にこもりたがる」と言われたことをそのまま体現したみたいな「自分を守る翼」は素晴らしかった。

会場を出る時に、「あなたのみらいはこれかもしれない!でも全然違うかもしれない!」おみくじを貰った。私が引いたのは、こんなのだった。

さて、これで本年はたぶん終わりになるでしょう。今年の読書冊数は185冊。昨年が160冊だったので、多少増えたかな。これはひとえに旅の多い一年だったから。旅先の車内や、駅、空港って、なんと読書がはかどることか。ほかにすることも無く、気を散らす余計なことも無い。ただただ本に熱中できる良い時間だ。たぶん、来年もあちこち旅をして回ることになると思う。

今年一年お付き合いいただきありがとうございました。良ければ来年もお読みください。そして、同じ本を読んだ方、ぜひ感想をお聞かせください。本について語り合うのは、私の大きな喜びです。では、よいお年を。