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「さざなみのよる」木皿泉 河出書房新社
「昨夜のカレー、今日のパン」の木皿泉。あの本も、これも、死んでしまった人が「生き続ける」物語だ。
みんなの生活の中に、死んでしまった人の記憶がちゃんととどまっていて、大事にされている。悲しみとか辛さもあるけれど、起きてしまうことをみんなちゃんと受け止める、そして忘れない。変に美化したり、感謝したり、持ち上げたりするんじゃなくて、当たり前に、そのままに受け止めて大事にしている感じが、とても良い。
なんかこんな本を読むと、死ぬのってアタリマエのことで、そんなに怖がらなくてもいいのかもしれないな、と思ったりもする。宗教とかそういうんじゃなくて、もっと生活レベルで、普通に起きることを黙って受け入れて、大事なものをいつまでも大事にする感覚が、とてもいい。
いい本だったなあ。
2018/12/10