ど・スピリチュアル日本旅

ど・スピリチュアル日本旅

2021年7月24日

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「ど・スピリチュアル日本旅」たかのてるこ 幻冬舎

 

「ガンジス河でバタフライ」以来、新作が出たら一応全部読むことにしている作家さん。バックパック旅を重ねた後、映画会社の社員になったが、退職して旅作家となったらしい。今までは世界中を飛び回っていたが、今回は日本をめぐる旅だ。スピリチュアルというと何やら胡散臭いイメージがあるが、日本には八百万の神がいる。そして日本人は一日になんども「気」という言葉を使う。気がつく、気をつける気が向く、気が合う・・・。この微妙な目には見えない「気」を察知しながら生きる日本人こそ、相当スピリチュアルな世界に行きている、と彼女はいう。たしかにそうかも。
 
たかのてるこの文体はやかましい。デビュー作からそうだった。もっと落ち着けよ、と思い続けてきたが、これが彼女の持ち味なら、完遂していただきたいと最近は思う。この本の中に登場し、ともに伊勢神宮を旅したお母様が、それはそれは傍若無人でぐいぐい思いのままに行動する方で、たかのてるこはそれに腹を立てっぱなしであった。が、その描写を読んで私が思ったことは、「たかのてるこって、お母さんそっくり。」だ。もうここまで来たら、親子でぐいぐい行っちゃってくれ、とやけくそのように思う。そういう濃ゆくて力づくな文章だとわかっていて覚悟を決めてこっちも読むからさ、と思う。
 
旅をしたのは、高野山、伊勢神宮、北海道二風谷、佐賀三瀬村、沖縄本当、久高島、石垣島、竹富島、黒島、波照間島。読み終えて、高野山と沖縄には絶対行こう、と思っている自分に気づく。そう思わせるだけの力がある、たかのてるこには。
 
この夏休みには台湾に行こうかと思っていた。かなり本気で下調べも進めていた。が、夏はひどく蒸し暑く、楽しみにしていた夜市も食中毒が出るという。沖縄以上の台風の通り道だなんて聞かされる。心が揺らいだところに、この本だ。うーむ。夏の旅行、仕切りなおしだなあ。なんどもなんども行ったのに、また沖縄に行きたくなってしまっている私。どうするかなあ・・・・。

2015/5/10