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「ほしじいたけ ほしばあたけ」石川基子 講談社
図書館で朗読のボランティアをされているお友達から教えてていただいた本。ありがとうございました。
きのこむらのはずれ、ほだぎのさとに暮らすほしじいたけとほしばあたけ夫妻の物語。崖下に落ちてしまったタマゴタケの子どもを助けるために、水に浸かって若々しく大変身。でも、助け終えたら日にあたって、元に戻ります。
高齢の両親をちょくちょく見に行く私としては、なんだか身につまされる、胸に響くお話でした。しわしわヨボヨボに見える人に隠された、大きな力。子どもたちに読み聞かせるというよりは、ご老人に聞いていただくと、元気になって貰えそうな。
ほのぼのといいお話なのだけれど、今の子どもたちに干ししいたけがどれくらい理解できるのか?と疑問に思っていたら、ちゃんと解説がついていました。
おひさまに、しいたけをほして、
しわしわ、からから、かちかちにしたもの。
ながいあいだ、ほぞんできるし、
なまのしいたけにはない、
えいようや、うまみがあります。
みずにつけて、やわらかくして、
りょうりにつかいます。
そのみずも、おいしいだしになるんです。
(引用は「ほしじいたけ ほしばあたけ」より)
おお、過不足のない良い解説。
その昔、住井すゑの「橋のない川」の中に、法事に呼ばれた老人たちが孫のために高野豆腐やしいたけの煮物を包んで懐にしまって持ち帰るというシーンがあったのを思い出します。孫たちは、じいさんばあさんがごちそうを持ち帰るのを、楽しみにしていたのです。そんな時代もあったのだなあ。
今の子どもたちに、どこまで通じるのだろう。「ほだぎのさと」のイメージまでわかってくれるともっといいのだけれど。中学年、高学年の子たちなら、聞いて楽しめるかしら。やってみようっと。
2016/2/12