ぼくはこうやって詩を書いてきた

ぼくはこうやって詩を書いてきた

2021年7月24日

「1942-2009 ぼくはこうやって詩を書いてきた 谷川俊太郎、詩と人生を語る」 谷川俊太郎 山田馨 ナナロク社

厚い厚い本です。
「字が大きいから、もっと小さくしてくれたら、ギュってできるのに」とは、通勤途中に読みたい夫の願いです。
わかるけど、詩がいっぱい詰まってるから、やっぱりこの程度の活字はほしいでしょう。
紙も良いものを使っていただきたい。
重くて、家で寝っ転がって読まないと大変でした。
手で持ってると、腕がしびれてくるのよ。
・・・って、本の外側の話ばかりして、どうする。

ものすごく、面白かったのです。
借りちゃったけど、これ、買って家においてもいいよなあ、と思いました。
ああ、こうやって、また本が増えていく・・・。

山田馨さんは、谷川さんの親友とも言える長い付き合いのあるもと岩波の編集者です。
谷川さんの詩の大ファンでもある彼が、谷川さんに、一番最初に書いた詩から、現在にいたるまで、ものすごい数の作品について、順をおって、ひとつひとつ取り上げて、様々な質問をするのです。
尋ねる方は、筋金入りの読者ですから、自分の解釈をかなり深く投げかけます。
谷川さんは、それに、え?いいの?と思うくらい、正直に、率直に、誠実に応えていきます。
個人的なことも、全てあからさまに話してしまうのです。
そして、その言葉ひとつひとつが、まさに、谷川俊太郎という人なのです。

恵まれた家庭で、屈折することなく、まっすぐに、真っ直ぐすぎるほどに育ってきた谷川さんという人が、浮かび上がります。
そして、彼は、今でも心の半分以上が、たぶん、子どものままです。
であるからこそ、苦しいこともある。
うまくいかないこともある。
でも、それがあるから、谷川さんの素晴らしい詩が生まれてくるのです。

読みながら、家にある谷川さんの詩集を読み返したり、味わったり、いっぱい復習もしてしまいました。
背景を知って読むと、また違う味わいがあったりして。

佐野洋子さんが、どんなに谷川さんに影響を与えたのかも、よくわかりました。別れてしまったけれど、彼らは、お互いに、自分の人生に必要としあっていたのだろうと感じました。
幸せな出会いだったのね。
でも、苦しかっただろうな。

谷川俊太郎という人は、得難い素晴らしい詩人です。
知ってはいたけれど、改めて、そう思いました。
読むごとにすごくて、ここが良かったの、ここであっと思ったのよね、といちいち説明しきれない。
どうか、少しでも詩に興味がある方、谷川俊太郎が好きだという方はお読みください。
損はしませんぜ。

2011/2/28