ぼくらの近代建築デラックス

ぼくらの近代建築デラックス

2021年7月24日

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「ぼくらの近代建築デラックス」万城目学 門井慶喜 文藝春秋

関西出身の作家であるお二人が、大阪、京都、神戸、横浜、東京の近代建築をお散歩しながら見て回ります。以前、南禅寺に行った時に見た赤レンガの建物の謎がこの本で解決しました。あのときは発電所だって書いたけれど、ポンプなのね。それも、大正天皇をお迎えするためにアーチを作ったのに、実際には使われなかった、なんてエピソードが面白すぎます。

門井さんは近代建築に造詣が深くて、万城目さんはそのレクチャーを聞きながら、どんどん建築に興味を深めて行きます。その様子はなかなか楽しいものでした。

それにしても万城目さんがデビュー当時、京都を舞台にした小説を書いて書店まわりをしたら、東京の書店では大歓迎してくれたのに、京都では実にそっけなかったというエピソードも、いかにも京都らしくて笑えました。

建築にあまり興味が無い人も、これを読んだら、これからの街歩きが楽しくなるかも。単なるガイドブックじゃなくて、読み物としても楽しい本でした。

2013/5/10