ゆうじょこう

ゆうじょこう

2021年7月24日

24
「ゆうじょこう」 村田喜代子 新潮社

私の大好きな作家、村田喜代子さんの新作。読んでいて、三砂ちづるさんや小谷野敦氏を思い出したら、どちらも参考文献でした。だよね。

明治の初め頃、硫黄島から熊本に買われてきたイチという少女が遊女となり、遊女の読み書きを教える教場で日記をつける。その日記のひらがなだらけの文章が、生き生きとして美しく、強く、たくましい。

廓の女たちがどんなふうに働き、どんな風に過ごし、どうやってその後を生きていったのか、私はとても気になっていた。それを村田さんはいきいきと描いてくれた。ついでに、福沢諭吉を思いっきり落としてくれて、私はわらった。胸がすく思いがした。

元氏族、元遊女の教場の先生もかっこいい。救世軍の思い違いはかっこ悪い。花魁はかっこいい。・・・なんて、こんな書き方しかできないのは残念なんだけど、読まないとわからないからね。

村田さんは、女たちに、フラットで優しく誠実な目を向けている。私は、それを心から支持するし、信じている。

2013/6/3