キャットニップ

2021年7月24日

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「キャットニップ 1」大島弓子 小学館

 

割とご近所に新しい個性的な本屋ができた。いつもバスの窓越しに眺めていたので、そのうち行ってみようと思っていて、ついに先日、散歩ついでに覗いてきた。なるほど、店主が何を考えているかが分かる、本の並びの良い店であった。その店で見つけたのが、これである。
 
「グーグーだって猫である」の続編ともいえる漫画。最近は漫画雑誌からすっかり離れてしまったので、今誰がどこに何を連載しているか全然わからない。大島弓子が新作を出したのも、全く知らなかった。2014年秋に出ていたのに気づかなかったとは不覚である。
 
とはいえ。大島弓子は、もう人間のドラマを描く気はないのだな、と思った。ここにあるのは猫との日々である。家の飼猫たち、庭に設置した避寒場所と餌を利用する外猫たち。あとは獣医と、猫たちをかわいがっているらしき近所の人の影が見え隠れするだけ。大島弓子ファンにとってはそれだけで十分といえば十分なのかもしれないが、なんだか寂しい。大島さん、歳をとったのね、と思わずにはいられない。
 
私は猫が好きなわけじゃない。大島弓子の描く物語が好きだったのだ。猫との日記だけじゃ物足りない。ずっと大島弓子を読み続けてきたみんなは、これで満足なのだろうか。私が求め過ぎなのだろうか。

2016/4/16