スイート川の日々

スイート川の日々

2021年7月24日

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「スイート川の日々」ルース・ホワイト 福武書店

先日聞きに行った徳間書店の児童書局長の講演に登場した本。彼女が初期の頃に世に出した本である。

1948年から1954年までのアメリカの片田舎の生活。父親を殺人事件で失った家族がアパラチア山脈の谷間の町で貧しいながらも助けあって暮らした日々の物語だ。

狭い町ならではの閉塞感、いがみ合いもあるが、子どもたちは子ども時代をいきいきと楽しんでいる。つらいことも悲しいことも含めて、その日々が輝いているのがわかる。

私達からは遠い町の、違った言葉、違った肌や目の色をした女の子の話なのに、気持ちがよくわかり、応援したり、共感したり、ともに悲しんだりしたくなる。

「大草原の小さな家」のように、いろいろなことがある中で、それぞれがどんなふうに生きていたかを教えてくれる物語でもある。

あまりにかわいそうなエピソードもあるので、それが児童文学作品として敬遠される部分もあったかもしれない、と局長も言っていたが、それを超えて、子ども時代の輝きを思い出させてくれる、良い作品だった。私は、好きだ。

2016/3/11