ポンコツズイ

ポンコツズイ

2021年7月24日

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ポンコツズイ 都立駒込病院ケツ栄内科病棟の4年間」

矢作理絵 集英社

33歳で100万人に5人の確率でなる突発性再生不良性貧血という厚生労働省指定の血液難病にかかった矢作理絵さんの4年間の闘病の記録。闘病物のドラマって、あくまでも美しく悲しく、「泣ける」ものだが、実際には汚くてダサくて弱くてカッコ悪いものだということを、身を持って見せてくれたのが矢作さんである。

血液疾患の多くの人と同じように彼女も骨髄移植を受けた。加納朋子さんの本でも読んだし、團十郎の闘病記録のテレビでも見た、その他のいろいろな記録でも見たが、いつだって骨髄移植はハイリスク・ハイリターンの過酷な治療である。死ぬような苦しみを乗り越え、いや、乗り越えられない場合も多々ある中、なんとか乗り越えたものだけがその後の人生を生きることができる。作者はそんな治療を、苦しみながらも笑えるところは笑い、愚痴るところは思い切り愚痴り、ちょっと離れたところから冷めた目で見すえている。これは凄い精神力だ。

彼女の周りにはたくさんの友人がいて、あわや!!という時には大勢が駆けつけてパワーをくれる。危機を脱せたのはみんなのパワーのおかげかもしれない、と素直に思えるほど良い友人に囲まれていることを羨ましく思う。

病院で知り合ったたくさんの戦友が、この世を去っていったことも、淡々と描かれている。人はいつか死ぬからね。でも、だからこそ、限りあるこの命を、できるだけ楽しく明るく機嫌よく生きたいものだと改めて思う。

矢作理絵さんの今後に幸いあれ、と心から祈りたい。みんな、がんばろう!!

2016/5/26