レンタルロボット

2021年7月24日

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「レンタルロボット」福井幸代 学研教育出版

 

私には姉がいるが、姉がいてよかったと思ったことは、皆無とは断言できないが、ほとんどないと思っている。両親が二人子どもを持てたことは、彼らにとってよいことだったと思っているし、それによって役に立つこともあったとは思うが、私自身の人生に関していえば、姉の存在が役に立ったことは、ほぼない。と、私の人非人っぷりを先にカミングアウトしたところで、この「レンタルロボット」である。
 
一人っ子の健太が、今持っているお小遣い全部と引き換えに弟ロボットをレンタルできるという物語である。弟はアトムという名前にしたかったが、それじゃバレバレなので、ツトムにした、というあたりはご愛嬌である。そのレンタルロボットである弟との出会いと別れの感動的な物語。涙なしに読めない、と聞いて読んだけれど、人非人の私は泣かなかった。泣ける人がいるのか。その人、きっといい人なんだろうなあ、と思うばかりである。
 
子どもたちはこの本を読んで感動するのだろうか。泣くのは親ばかり、ということじゃないのかなあ。感想文を読んだところで、本当の気持を書くなんてことを子どもたちは教えられていないし、しようとするかどうかもわからないので、何とも言えないよな、なんて思う、更に人非人になり続けてしまった私である。
 
素直に感動した人の話が聞きたい。
 
 

2019/5/9