七人の敵がいる

2021年7月24日

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「七人の敵がいる」加納朋子 集英社文庫

「我ら荒野の七重奏」の陽子さんの若かりし頃、というか、息子が小学生の間の物語。PTAとか子ども会とか自治会とかスポーツ少年団とか、母親が役員問題で頭を悩ませる問題を全面的に描いている。

わかるんだよなあ。子どものため、というお題目があると抗えないものごと。しきたりや慣習や面倒な人間関係。能力差と価値観の違いの間で苦悩する母親たち。うっかりすると専業主婦V.S.ワーキングママの戦いに突入してしまう・・・・。

能力溢れ、かつ人と違うことにためらいを持たない陽子さんはバリバリと突き進む。だとしても、それを理由に我が子がいじめられたり外されたりするのは困るから、矛先はちょっと緩む。難しいよね。

昨今は悪役扱いされているPTAだけれど、やっぱり必要な部分はあると思うし、合理化してなんとかみんなで力を合わせて子供のためになることは続けた方がいいんじゃないか、と私は思う。大変なのはよ~ーーーく知ってるけどね。(でも、私の経験を話せば、良い仲間に恵まれさえすれば、一年間くらい、楽しくやっちゃう手はあると思うんだよね。)

陽子さんはPTA役員のなり手が少ない問題に最終的にある解決策を提示する。でも、私はその策にはあんまり賛成できない。まあ、それがこの物語の主眼ではないのだけれどね。

PTAも自治会も子ども会もスポーツ少年団も、難しい。子どもは楽しませてやりたいけれど、親が手をかけるのは面倒だし大変だ。色んな人がいるから、必ず人間関係のトラブルも起きるし。子育てはそういうことも含めて修行ではある。楽しいことだって山ほどあるんだけどね。

なんてことをつらつら考える本だった。陽子さん、頑張ったなあ、と思うよ。

2017/3/18