京都ゲイタン物語

京都ゲイタン物語

2021年7月24日

「京都ゲイタン物語」大原由軌子

図書館に珍しく漫画がおいてありました。たまに、手塚治虫賞などの大きな賞をとった作品なら、漫画でも書棚におかれることがある図書館です。

ブックデザイナーから漫画家に転身した作者の短大時代の思い出の漫画。勉強が嫌いで、絵しか描けない子どもだった作者が、絵だけで入れる高校から、絵だけで入れる大学に行って過ごした青春の思い出。

美大って、個性の強いひとが多いのだろうなあ、って思ってたけど、この人は、ごく普通で当たり前の平凡な人間だった・・みたい。そして、自分のそういう普通さが生かせる職業として、ブックデザイナーを選んだそうです。
平凡な自分をつまらなく思っていたのに、それを生かせる仕事がある・・という発見の喜びが素直に伝わってきて、なかなか良かったです。

「本って手元に残してもらえますよね?」
「つまりブックデザインっていうのは
誰かが大切にしてくれるものを作る仕事なんです」
「カバーや表紙っていうのは読者が最初に触れる本の顔であり
読者と本をつなぐ道しるべになるものだから
やりがいはありますよ」
(「京都ゲイタン物語」より引用)

この部分は、自分が本好きだからゆえかもしれないけれど、すごく胸に染み込みました。
大切にされる、喜ばれる仕事、という誇りが伝わってきて、よかったなあ。

2010/5/17