移民の宴

移民の宴

2021年7月24日

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移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活」高野秀行 講談社文庫

 

高野秀行は、その著作をコンプリートしたい作家のひとりである。エンタメノンフィクション三銃士のひとりとも言われている。最近は、松本人志の「クレイジージャーニー」なんかにも出演してた。幾つも賞を撮ったりしてなかなか偉くなりつつある人なのだが、相変わらずのほほんとしたおじさんでもある。
 
そんな高野秀行が、日本に長期滞在している外国人がどのような食生活を送っているかを足と口を使って調べたのがこの本である。成田にあるタイ寺院、イラン人のベリーダンサー、南三陸のフィリピン人女性、神楽坂のフランス人、鶴見の沖縄系ブラジル人・・・。様々な外国人の日常食が紹介されている。高野さんはどれもちゃっかり一緒にいただいちゃったり、何なら作るのも手伝ったりして、なかなか楽しいレポートである。
 
世界中どこへ行っても、みんなれぞれに食べることを楽しんでいるし、美味しいものは人を幸せにする。慣れ親しんだ味は忘れられないし、どこへ行っても懐かしく食べたくなるものである。でも、現地にしかない食べ物だってあるし、今いる場所にも順応したいし。そんなところから、様々な料理が作られていく。
 
食べるって、大事。食べるって、幸せ。食べるって、生きること。
そんなことを考えた本であった。

2016/7/12