京都散歩 その2

京都散歩 その2

2021年7月24日

南禅寺を抜けたら、もうお腹がすいていた。どこで何食べる?と言い合いながら、だらだら歩く。湯豆腐、いいなあ、と豆腐好きの私はつぶやくが、夫はそれほど心が踊らないらしい。
「瓢亭で食べる?」
なんて口走りやがる。瓢亭って、あなた、懐石料理がお一人様ン万円の世界じゃありゃしませんかね。と言うのに、ずんずん進む夫。
「いや、懐石弁当なら、もっとずっと安いはずなんだよ」
ですと。大丈夫かなあ。とおろついていたら、ほんとに瓢亭だよ。きれいな和服のおねえさんが、
「お食事ですか?」
と尋ねはる。
「こちらは、懐石のお食事でお一人三万円からになりますが、お隣りの別館ですとお弁当のご用意がございます。」
ですって。そうだよなあ。三万円の懐石を食べそうには見えないよな、我々。

別館へ入ると、静々と席へ案内される。確かに、懐石よりずっとリーズナブルな懐石弁当があるようだ。ほっとして、注文。来たのは、こんなお料理。それに、新生姜の炊き込みご飯と鱸のお吸い物もついたけど、夢中で食べたので、写真を撮り忘れてしまった・・・。

美味しいけど、卵はゆで卵じゃなくて、だし巻き卵のほうが嬉しかったかな、なんて言ってたら、なんと、実はこの卵が「瓢亭卵」といって、有名なんですと!いや、でも、これって、たしかにうまいけど、三谷幸喜さんが新聞に書いていた熱湯六分のゆで卵ですってば。ごめんよ、下衆なこと言って・・・。

お腹がいっぱいになったので、そこから、山県有朋の別荘だったという無鄰菴へ。その入口で、意外な出会いが。

私の傘、ソニア・リキエルなんですよ。赤地に白いチューリップがいくつか描かれている模様の。そしたらね、我々の前にいる年配のご夫婦の奥様が、私と全く同じのを持ってらして、
「まあ、同じ傘ですねえ。」
って。
「初めてです、同じ傘に会ったのは。これ、義母の形見なんですよ。」
なんて答えました。建物に入るとき、傘立てで間違えないようにしなくちゃ。でも、偶然だわー。なんだかほっこりしました。

と、余談はともかく。この無鄰菴のお庭の美しいことといったら。琵琶湖の疎水が流れています。庭の池といったら、普通、溜め水でしょう?でも、これは疎水だから、流れていくのよ。さらさらと流れる水の気持ちのいいことといったら。

ああ、こんなお庭があったなんて。金持ちってすごい。でも私いらない、この庭。管理するのたいへんだもの。持ってなくていいから、ちゃんと誰かが管理して、私が見たいと思ったときにはいつでも見られるようにしておいてくれたら、私はそれでいいわ。

なんて思ってしまう。そういえば、志摩の真珠島でも、小樽のベネチアングラス美術館でも、同じことを思ったなー。私ってば、所有欲が管理のめんどくささに負けるタイプらしい。

2011/7/6