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「人のセックスを笑うな」山崎ナオコーラ 河出書房新社
「かわいい夫」の山崎ナオコーラ。彼女のデビュー作だというので読んでみた。
なんでこの題名にしたのかなあ。センセーショナルな題名なのに、中身は静かなみずみずしい青春恋愛小説じゃないか。相手がおばさんだということがちょっと違うのかもしれないけど。
小説の内容と裏腹に、作者の思いが題名にほとばしってしまったのかしら。この人、自分のことを容姿が悪い、と断言しているし、恋愛にコンプレックスがあったみたいなので、自分ごときが恋愛小説を書いたら笑われるんじゃないか、という思いが根底にあったとかそういうことなんだろうか。
ハタチそこそこの主人公は真っ直ぐに、そんなにきれいでもなんでも無い年上の既婚者を好きになって、同年代の可愛い女の子とも付き合うチャンスが有るのに、それもふりきっておばちゃんを好きでい続ける。でも、それが全然不思議じゃない。
人と人との関わりなんて、美醜とか若さとかそんなものばっかりじゃないものね。人を好きになるって、外側だけのものじゃないからね。
心の揺れ動く時期を丁寧に描いてあって良い小説だと思った。私は、好きだよ。
2020/7/12