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「北朝鮮 行ってみたらこうなった。」
のなかあき子 インデックス・コミュニケーションズ
作者はイラストライター。風俗、アジア、伝統工芸など様々な分野を取材、ルポしていたが、謎の隣国に興味を持ち、似たような興味をもつ夫と新婚旅行先に北朝鮮を選ぶ。思想・政治的背景は、本を読む限りはほぼ無い様だ。ただひたすら、好奇心だけが珍しいものを追い求めている。
著者は、以前に韓国側から板門店を経て金剛山に観光に行ったことがある。そのルポも、この本の途中でいきなり挟まれる。韓国側から見た板門店と、北朝鮮側から行った同じ場所の対比がここで行われている。
しかし、基本、この本はただの旅行本だ。政治的、社会的批評や視点はない。だが、だからこそ、ナマの北朝鮮が見えてくる。北朝鮮はアイスクリームがやたらと美味しくて、管理が厳しくて、決まったところしか見られない国だ。不自由そうだなあ、という感覚だけは伝わってくる。それから、旅行者を監視(?)する係員が割にテキトーな人たちだということも、意外だったりする。
でも、不自由そうだし、パスポート取られちゃうし、日本に戻るまで、本当に帰れるのかな・・というそこはかとない不安感がつきまとうこの国に、行きたいとは思えないな、というのが正直な感想だった。
2012/7/31