屋久島・指宿旅行記6

屋久島・指宿旅行記6

さて、指宿の朝。車を運転しない我々なので、午前中はタクシーをお願いしてこのあたりをぐるっと回ることに。まずは日本最南端の駅、西大山駅へ。ホームからは開聞岳がきれいに見える。そういえば何年か前、稚内で日本最北端のコンビニを見たなあ、なんて思い出す。

そこから薩摩半島最南端の岬、長崎鼻へ。浦島太郎が竜宮城へ行ったのはここからだということらしい。浦島の像もあるが、貝殻に囲まれて、ごみ溜めにいるみたいに見えて、ちょっと気の毒な感じ。

ここの土産物屋でお茶をごちそうになり、老母のためにお土産を買う。母はラーメンが好きなのだけど、濃厚なとんこつは苦手なので、さっぱりしたのが欲しいと言ったら串木野のマグロラーメンを出してくれた。帰ったら、母の所で一緒に食べよう。

鹿児島ゆかりの有名人の一覧表が掲示してある。長渕剛や哀川翔、ピーター、愛華みれ、満島ひかりに綾小路きみまろ…。各種取り揃ってるなあ。

今度は開聞岳へ。美しい形の山。わりに短時間で登れるというのだけれど、今の私たちには無理ね。一部はゴルフ場になっていて、タクシーで六合目までは行ける。トカラ馬という日本保有種の馬が放牧されていた。かわいい。

池田湖という湖に行く。ここにはイッシーという謎の巨大生物がいるとかいないとか。巨大うなぎも生息しているとのことで、うなぎは現物を見られる。すごく大きかったけど、あんまりおいしそうじゃない。このうなぎを展示してある施設には、たくさんの大御所マンガ家の絵が飾ってあった。イッシーの像もあるけれど・・・。

池田湖の周りに学生さんたちが大勢いて、どうやらマラソンかウォーキングだかの行事のようであった。屋久島の中学生の島一周サイクリングの話をちょっと思い出す。若いって素敵。

宿に送ってもらって観光は終了。近くのカフェに昼を食べに行く。しゃれたお店なんだけど、店長一人で切り盛りしていて、食べ物を出すのにちょっとお待ちいただきます、と言われる。別に急いでないのでごゆっくりどうぞ、とお願いする。ネットで外国人さんたちに人気の店のようであった。出された珈琲は、丁寧に入れてあって、とてもおいしかった。

いよいよ明日は帰宅である。昼食を取りながら、明日、鹿児島空港へいく経路について作戦会議が開かれる。空港バスの到着予定時刻が、飛行機の出発時刻の一時間前を切っているのが夫は気になっている。まあ、間に合うとは思うが、万が一乗り遅れたら困るしなあ、と。それと、バス停が、指宿駅前だと宿から20分以上かかるらしい。私は負傷中だし、タクシーでバス停まで行くのも非効率か。実は、宿から割と近くの「いわさきホテル前」という停留所からバスは出発する。そして、グーグルマップだと、そこまでは割と近くなのだ。ただ、地図上の道が何となく怪しい。

相談の末、食後のお散歩がてら、その「いわさきホテル前」停留所までグーグルさまの教えに従って歩いてみることにした。すると。最初は舗装道だったが、途中から雑草の生えた土の道、そして雑草はよりワイルドになり、最終的には獣道状態に。しかも、登り坂。これは、荷物を引きずって歩けそうにないなあ、と言い合いながら目的の停留所へ到着。時間的には15分程度で着くには着くが、ちょっときつい。で、帰りはまた別の道を調査することに。それが、さっきよりもさらに獣チックな道であった。雑草が背の高さほどに生い茂り、これはもう道ではない。そして、何とかそこを抜けたら、我々の衣類と靴は、引っつき虫だらけとなった。逆向きのとげのある突起によって引っ掛かるセンダングサ系の種子と思われる。

宿に戻る。長時間かけてズボンや靴からひっつき虫を退治する。これはもう、歩いてバス停に行くのは断念せざるをえまい。指宿の駅までタクシーで戻るくらいなら、もう、空港までタクシーで行っちゃえ、と決断を下し、フロントで予約を入れる。間に合わなかったらどうしようと気をもむよりはいいよね。私の骨折問題もあるし。

タクシーを予約したところで、ほっとして、近くの砂むし会館へ行く。男女別れて脱衣所で裸の上に浴衣を着て、また合流。へたくそな浴衣の着方をした外人さんもちらほら。砂浜へ行く。ずらっと並んだ枕に身を横たえると、砂かけ係が上から熱い砂をかけて埋めてくれる。あったかーい、気持ち良₋い。でも少し重いから、肋骨に響くけどさ・・・・。その昔、千葉の館山で義母が存命のころ、息子と一緒に同じような砂風呂に入ったなあ。ボーっと温まってから、じわじわと足の指を動かしたり、腕を動かして、最後にぼこっと起き上がる。

男女別に風呂場に入り、まず流し場で砂をお湯できれいに流してから、髪と体を洗って、最後に温泉入浴。もう、体中、ほっこほこに温まって、おお、これで骨も多少はくっつくかしらね。満足であった。

その夜の食事は黒豚のしゃぶしゃぶ。美味しゅうございました。そして、翌朝、お願いしたタクシーで空港へ。運転手さんは野球のシニア選手だそうで、還暦大会の、もひとつ上のクラスに出るそうだ。うわー。運転大丈夫か。毎年検査を受けてるから大丈夫だと言ってたけどね。いろいろ観光案内もお話しくださって、元気な方ではあった。

ちゃんと飛行機に間に合って、羽田へ。羽田から我が家までの直行バスがあるんだけど、ぎりぎりで時間に間に合うかどうか・・だったので、必死で行ったのだけど、場所をちょっと間違えて、ようやっとたどり着いたら、今すぐ出る、というところ。二人乗せて!と言ったら、チケット買ってないとだめ、次のにして、だって。次は数時間後なのにさー。間違えなければチケットを買う暇はあったのに、残念。

でも、大丈夫よ。本当は、モノレールと電車を乗り継げば、もっと早く帰れることは帰れるの。乗り換えが嫌だっただけさ!というわけで、まじめに乗り換えて、無事に帰宅したのであった。お疲れさまでした。

長年のあこがれの屋久島についに行けて、達成感はすごいのだけど、肋骨を折るとは思わなかった。もっと歳を取ったら行けないから、と行ったこの旅行、ぎりぎり間に合ったのか、それともぎりぎり間に合わなかったのか。まあ、無事だったから良しとしましょう。

長々お付き合いいただいて、お読みいただいて、ありがとうございました。ちなみに三週間ほどたって、肋骨は、ほぼ痛まなくなりました。たぶん、かなりくっついたんだと思います。やれやれ。

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