加来耕三の 感動する日本史

加来耕三の 感動する日本史

2021年7月24日

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加来耕三の感動する日本史 涙が止まらない29の話!学校では教えない心をうつ実話の数々
加来耕三  ナツメ社

XANTHさんに教えていただいた本。XANTHさん、ありがとうございました。

沈没した潜水艦の艦長だった佐久間勉、民生委員制度を作った大阪府知事の林市蔵、江戸時代、雪国の厳しさを都に伝えた鈴木牧之など、多くは私の知らなかった歴史上の人物や出来事が29、紹介されている。280ページの本に29の人物やエピソードが入っているので、ひとつひとつはそれほど詳しくは書けない。そのせいかどうかはわからないが、感性の乏しい私は感動して涙を流すところまでは行けなかった。

例えば、財政の逼迫した肥後熊本藩の名君、細川重賢は、藩政改革を行うために、堀平太左衛門を登用し、彼の下に蒲池喜左衛門をおいた。堀平太左衛門は毀誉褒貶が激しく、大役に抜擢できるような人物ではなかったが、非常時に人事は一般的な尺度では計れないという理由で登用された。また、蒲池喜左衛門も、理屈っぽい奴で、雨の日に特別に門を開けてね、と細川重賢が頼んだら、その程度のことで先例を変えられない、と突っぱねた。このような硬直の士こそ、我が藩には必要だ、と認められたのだそうだ。そして、ついに「宝暦の改革」は見事成就した。

・・・・という記述を読んでも、それぞれ人物がどのように頑張って、何をし、そしてその改革とはどんなものだったか、全然わからないのである。短くはしょりすぎて、見えてこない。わからないと、感動できない。

やっぱり歴史物はもう少し詳しく読みたいなー、と思ってしまった。でも、知らなかったいろいろな人の話を読めたのは、よかった。歴史って、高名な歴史上の人物だけによって動かされてるんじゃないのよね。たくさんの、当たり前の毎日を送る普通の人々が作り上げているものなのよね、と改めて思える一冊でありました。

2011/10/16