札幌・利尻・礼文旅行記1

札幌・利尻・礼文旅行記1

2021年7月24日

今年はどこに旅行するか問題は、春先から我々の大きな議題であった。最初は台湾に行く説が有力で、ガイドブックも何冊か読んだし、下調べも始めていた。 が、台湾は暑い。ということに後からはたと気がついた。そういえば、去年、直島へ行って、それはとてもとても楽しくはあったけれど、あまりの暑さに「来年 は涼しいところへ行こうね」と言い合ったのではなかったっけ。

それから、途中、竹富島へ行きたい欲望にかられたり、やっぱり四万十川には行きたいよねなどと何年も何年も繰り返された懸案事項が取り沙汰されたりしつつ、最後には、とにかく涼しそうだ、ということで利尻礼文が残った。北海道なら、札幌に住む息子とも合流できそうである。

コンクールを控えてひたすら忙しい、部活動命の娘は、昨年より家族旅行参加を辞退している。彼女の夏合宿の日程から一日差し引いて旅行は敢行する。朝、しっかり送り出して後の出発、そして、彼女の帰還の一日前の帰宅が原則である。となると、四泊五日。

当初の予定は、羽田から千歳経由で利尻、礼文、利尻と一泊ずつし、最終日に札幌に一泊して帰京というものであった。飛行機は基本、マイルである。ところが、マイルで買えるチケットはあっという間に売り切れ。しょうがないので、あれこれ工夫して、先に札幌に宿泊した後、翌日から利尻、礼文、利尻と回って最終日に千歳経由で羽田へ帰ることとした。これが伏線である。

当初の予定と違ってしまったので、旅館の手配をやり直したり、チケットを取り直したりパソコンに向かって夫は大活躍であった。ご苦労さまです。

というわけで、8月に入ってすぐに、われわれは娘を送り出した後、札幌へ飛んだのである。

札幌在住の息子とは、ホテルのロビーで待ち合わせすることになった。ところが、ホテルが見つからない。どうやら目的地は駅の北西にあるのに、我々はまちがって南を目指して歩いてしまったら しい。どうにもわからないので、しょうがなくてタクシーを拾い、基本料金内でホテルまで乗った。たしかに、タクシー運転手も首をひねる、実にわかりにくい場所ではあった。

ところで、旅に出る前の話である。

出発したのが土曜日。ところが私、その週の火曜日に、いきなり下痢になったのである。それもかなりひどくて、トイレに座りっぱなし。とりあえず、ひと通り収まったところで急いで医者へ行くと「熱さえなければ、ウイルス性のものじゃないと思うので、出すもの出しきって、寝てなさい」ですと。ところが、帰宅後にいきなり熱が上がる。やばいやばい。38度をかなり超えたので、焦る。「旅行、キャンセルする?」などと夫に言われて大否定。じゃあ、君の分の雲丹といくらは代わりに食べてあげるね、なんて言われて、さらに焦る。だが、金曜日になんとか平熱に戻り、ほぼほぼ食事もできるようになった。ギ リで間に合ったが、危ないところであった。

というわけで、札幌。息子となんとか落ち合ったのは、午後四時頃だったか。ホテルに荷物をおいて、ぶらぶらと大通公園に散歩に出る。すると、何やらビールフェスティバルのようなものをやっているではないか。

でも、人が多くて、ビール売り場は長蛇の列。並ぶのも面倒なので、そのまま大通公園をずうっとずうっと歩いて行くと、奥に行くに連れ、人が減り、サッポロ だの麒麟だのの有名メーカーのテントがなくなった。最後のほうにドイツから来たよく知らない銘柄の屋台がすいている。そこで小さいグラスビール一杯だけを三人で分けあう。おお、一杯のかけそばの世界。しかし、そのビールはぬるくて、あんまりうまくもなかったのであった。

大通公園の一番突き当りには、札幌資料館があって、その中にはおおば比呂司記念館もある。おおば比呂司の絵はなんだか懐かしい。それを眺めたり、その近くの息子のおすすめのスウィーツのお店でちょっとクッキーを買ったりしているうちに、6時が近づいてくる。

6時からは「八仙」という店で塩ジンギスカンを食べるのだ。2011年に、この店に来て、あまりの旨さに倒れそうになった。あの時は、息子は大学の用事が あって来れなかったので、娘と三人で食べた。今回は、息子と三人だ。この店は、親父がうるさい人で、時間に遅れても早すぎても叱られちゃうのね。というわけ で、6時ちょっとだけ前に行ったら、ピッタリ6時にお店に入れてもらえ、前と同じ美味しいお肉を食べられたのでありました。

ジンギスカンって、普通は醤油ベースのタレで食べる。それが、ここは塩ダレなんだけど、びっくりするくらい美味しい。羊が柔らかくて、味わい深い。でも、夫は「前来たときはもっと旨かったような気がする」ですと。人間って、贅沢になるものだ。記憶は美化されるものだ。

さて、それから今度は息子のおすすめのススキノのソフトクリーム屋まで歩く。これが遠くて大変。つかれたあああああ!とゴネる私。しかし、夫と息子、二人とも強い意志で突き進んでいく。仕方ないので、私もぶうぶう言いながら歩く。途中、迷って探しまわり、やっと見つけたお店は、ジョッキに入ったソフトクリーム に、いろんな洋酒をほんのちょっとずつかけて食べるというコンセプト。多種多様なお酒が用意されていて、その中から九種類くらい選んだんだっけか。アブサンだのバランタインだのがうまい。

小さいグラスにほんの少しのお酒が入っていて、それをスプーンでかけて食べる。なんと、ソフトクリームはおかわりができるんだけど、この間まで下痢していた私にはボリュームがあり過ぎかも。

でもでも、かけるお酒によって、味は様々に変化して、とてもバラエティが楽しめる。

と、こんなかんじで札幌の夜はふけていった。明日からは利尻だ!!

2へ続く→
2015/8/28